190cm左腕・佐藤一磨が挑む“大改造” 8失点KOの屈辱…捨てたプライド「変える怖さはない」

2軍では防御率1.83、10勝3敗の好投も…
オリックスの佐藤一磨投手が、体を正しく使って出力を上げる新しいフォームでレベルアップを果たす。「大改造です。一からです。変える怖さはありません。そのくらいやらないと、変わらない」と背筋を伸ばして前を見据えた。
佐藤一は、横浜隼人高から2019年育成ドラフト1位でオリックスに入団した左腕。190センチの長身から投げ込む直球やカーブ、スライダー、フォークなどの変化球を織り交ぜ、2023年にウエスタン・リーグで8勝を挙げ最多勝のタイトルを獲得した。2024年6月に支配下登録され、交流戦の巨人戦(東京ドーム)でプロ初先発し、初勝利を挙げた。昨季も2軍でリーグ最多の10勝をマークし、防御率1.83。1軍でも9月21日のソフトバンク戦(みずほPayPayドーム)でプロ2勝目を挙げることができた。
フォーム改造のきっかけとなった試合があった。3勝目をかけて臨んだ10月3日のソフトバンク戦(同)で先発し、4回途中、被安打10、8失点でノックアウトされてしまった。1回に柳町達外野手に138キロのストレートを右に運ばれ2ラン。5回には押し出し四球の後、栗原陵矢内野手に満塁本塁打を浴び、続く谷川原健太捕手にも右翼席に運ばれた。
「下(2軍)で10勝を挙げ防御率1点台。2勝目も挙げて自分の中にあったプライドは、全部取っ払われました。球速も出ないし、正直言って天井が見えました。悔しいというより、もう無理だなって」。出力を上げようと思っても球速が上がらなかった。シーズン終盤による疲労ではなく、体の使い方に問題があると考え、秋季練習で厚澤和幸投手コーチに相談した。
「厚澤コーチは、長く指導をされいろんな選手を見ていらっしゃいます。元々、球速が出ていた人や途中から出るようになった人、ずっと出なかった人。その知識に甘えさせていただこうと思いました」
秋季キャンプから大改造が始まった。ステップを踏み助走をつけて投げ込むなどしているうちにたどり着いたのは、左足の使い方だった。「今までは傾けていただけだったのですが、蹴るというか左足から体重移動を始めるという感覚です」。球速には固執していない。「しっかりとした体の使い方ができれば、しっかりと強い球が投げることができます。球速は副産物です」
育成選手として4年を過ごし、支配下で迎える3年目のシーズン。「6年間で土台がしっかりした中で新しいことをしようとしています。変えるのは苦手だったんですが、いろんなことをして結果が出なくても納得できる。しっかりとした体の使い方ができるフォームが手に入れば、(190センチの)僕の体があれば、絶対に球速は上がってきます」。考え方やフォームも変わった新しい姿で勝負する。
〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。
(北野正樹 / Masaki Kitano)