中嶋聡SDの助言で“覚醒の兆し” 内藤鵬が秋に掴んだ手応え「強い打球が打てる」

オリックス・内藤鵬【写真:加治屋友輝】
オリックス・内藤鵬【写真:加治屋友輝】

内藤が取り組む意識改革、中嶋SDに求めた助言

 オリックスの大砲候補、内藤鵬内野手が前監督の中嶋聡シニアディレクター兼フィールドコーディネーター(SD)から打撃の助言を受け、左打者の感覚でバットを振り込んでいる。「中嶋さんのアドバイスで、左打者だと思って打つと、きれいな打球がセンター方向に行くようになったんです」。内藤が人懐っこい顔をほころばせた。

 内藤は名古屋市出身。日本航空高校石川から2022年ドラフト2位でオリックスに入団した。1、2年目に足と肩に大きな怪我を負い、手術を余儀なくされ出遅れた。3年目の昨季は小さな怪我はあったものの、ほぼシーズンを通してグラウンドに立ち、2軍で112試合に出場し3本塁打、打率.227。みやざきフェニックスリーグでは57打数18安打、11打点、2本塁打、打率.316と打撃向上を図ることができた。

 今季につながる結果は残せたが反省もあった。「打球方向の9割くらいがレフトだったんです。センター方向に打てるボールもあったのですが、(引っ張ってばかりいると)何か損をしているように思えて。センターを中心に右にも打つことができれば打撃の幅が広がるなと」。

 そんな考えでいた高知市での秋季キャンプで、当時、スペシャルアドバイザー(SA)として訪れた中嶋SDに「センターに大きい打球を打ちたい」と助言を求めた。「それなら下半身の使い方やバットの面などをもっと意識した方がいい。右足が打つと同時に回っているから、左方向には飛ぶけれどセンターには飛ばない。右足をギリギリまで我慢したらいい。バットの面も意識しないといけない」。中嶋SDの答えは明快だった。

 練習終わりのベンチ内での数分の立ち話。技術指導は受けることができなかったが「左に大きいのを打とうと思ったら、バーンと踏み込んでパワーだけで打てるのですが、センターやライトに打とうと思ったら技術も必要です。ただバットを振っているだけでは飛ばないんです。バットの面もちゃんと入っていかないとダメなんです」と理解するのに時間はかからなかった。

 助言をもとに取り組んでいるのが「左打者だと思ってバットを振ること」だ。「左側に1塁ベースがあると思って打つと、きれいな打球がセンター方向に行くんです。右打者として打ったら詰まってしまうのですが。(打ってから)左に走っていく感覚で打てば、体が開かずに強い打球が打てるんです」。あくまで感覚の問題なのだが、外角の球を引っ張っり、左前安打にして打率を上げることより、広角打法を身につければ中堅より右にも長打や本塁打を打つことができるという“確信”が生まれつつある。

 昨季は1度も1軍に昇格できず、悔しい思いをした。1軍の戦力になれなかったうえ、知人の紹介で知り合ったミュージシャンのtani yutoさんが制作してくれた登場曲「帆」を、本拠地で披露することができなかった。また、高校時代の3年間を過ごし、能登半島地震で大きな被害を受けた輪島市の知人らを1軍での活躍で激励することもできなかった。

「昨年末に地震後、初めて輪島を訪れましたが、朝市のあった場所は整地され建物もなく、道路にはまだ亀裂があり復旧されていない道もありました。仮設住宅で暮らす方もまだまだいらっしゃいます。恩返しのためにも、1軍でホームランを放って元気になってもらいたいと思っています」。自身のためだけでなく、様々な思いを胸にバットを振り抜く。

〇北野正樹(きたの・まさき)大阪府生まれ。読売新聞大阪本社を経て、2020年12月からフリーランス。プロ野球・南海、阪急、巨人、阪神のほか、アマチュア野球やバレーボールなどを担当。1989年シーズンから発足したオリックスの担当記者一期生。関西運動記者クラブ会友。2023年12月からFull-Count編集部の「オリックス取材班」へ。

(北野正樹 / Masaki Kitano)

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