阪神育成に眠る26歳左腕 “遅咲き”ブレークも…OBが称えた魔球「久しぶりに見た」

元捕手の野球評論家・野口寿浩氏が宜野座キャンプを視察
昨季は圧倒的な投手力で2年ぶりにリーグ優勝を果たした阪神。現役時代に阪神、ヤクルトなど4球団で捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は、猛虎の連覇には「右の救援投手の拡充」が欠かせないと指摘する。
野口氏は7日、阪神の沖縄・宜野座キャンプを視察した。真っ先に足を運んだのがブルペンだった。
昨季の阪神はリーグ断トツのチーム防御率2.21を誇り、とりわけ救援陣に限った防御率は2点台を割り1.96と驚異的だった。野口氏は「昨季の救援陣は、2024年に70試合に登板し防御率1.79を残した左腕・桐敷(拓馬投手)が、43試合、防御率2.84と振るいませんでしたが、その穴を見事に埋めたのが、同じ左腕の及川(雅貴投手)でした。66試合に登板し6勝3敗1セーブ46ホールド、防御率0.87の好成績を残し、リーグ優勝の決め手になりました」と振り返る。
「救援陣には年ごとに、調子のいい投手と悪い投手が必ず出ます。それだけに、枚数は多いに越したことはないのです。今季は左腕に関しては人材豊富ですが、右腕に少し不安が残るのが現状だと思います。もし進境著しい右腕・石井(大智投手)が、左腕の岩崎(優投手)に代わって守護神の座に就くことになれば、なおさら、強力な右の中継ぎの台頭が必要になります」と続けた。
そんな中、ブルペンでは連日、若手右腕が猛アピールを続けている。工藤泰成投手、木下里都投手、石黒佑弥投手らだ。さらに、この日に行われたシート打撃で、ドラフト5位ルーキーの能登嵩都(のと・しゅうと)投手(オイシックス新潟)が存在感を放った。
育成左腕・伊藤稜にも注目「久しぶりに“抜け”のいいチェンジアップを見た」
能登は北海道出身で旭川大高、桐蔭横浜大を経て、2024年にイースタン・リーグへ新規参入しNPB球団と対戦するチャンスを得たオイシックス新潟に入団。2年目の昨季は23試合12勝4敗(勝率.750)、防御率2.60で、最多勝・勝率第1位・最優秀防御率のイースタン・リーグ3冠に輝いた。
この日のシート打撃では打者5人を全て凡打に打ち取り、パーフェクト投球。テークバックの際にグラブをはめた左手を高く上げ、そこから豪快に投げ下ろす迫力満点のフォームで、184センチの身長がさらに大きく見える。野口氏は「特長的なフォームでタイミングを取りづらそう。打ちづらいフォームというのは、それ自体が武器です」と評した。
湯浅京己投手もシート打撃で力投した。2022年に59試合に登板し43ホールド、防御率1.09で大ブレークしたが、2024年に体調不良を訴え、難病の胸椎黄色靭帯骨化症と診断されて手術を受けた。リハビリを経て、昨季40試合に登板し22ホールド、防御率2.52。復活ののろしを上げた。野口氏は「病の前と同じボールを投げろと言うのは無理な話で、本人は“ニュー湯浅”のスタイルを模索している最中だと思います。今季からがまた楽しみです」と目を細める。
左腕にも、名前を挙げておきたいリリーバーがいる。背番号「125」の育成選手・伊藤稜投手だ。こちらもシート打撃で好投し、野口氏を「久しぶりにあれだけ“抜け”のいいチェンジアップを見ました。速くて動きの小さいフォームから、強い球とふわっとした変化球で上手く緩急をつけていました」と感嘆させた。まずは支配下登録を勝ち取ることが先決。2021年育成ドラフト1位で入団しプロ5年目を迎えた26歳とあって、早めに結果を出すことが求められている。
現役時代に絶対的守護神として鳴らした藤川球児監督は就任2年目の今季、どんな救援陣を編成してシーズンに臨むのか。楽しみな素材がそろっている。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)