ソフトバンク時代の2019年に12勝、2023年オフのトレードで巨人へ移籍
“絶滅危惧種”同士の絆は固い。昨季限りで巨人から戦力外通告を受け、西武と育成選手契約を結んだ高橋礼投手が、1軍の宮崎・南郷キャンプに抜擢され、懸命にもがいている。同じアンダースローで同い年(1995年生まれの30歳)でもある與座海人投手の存在が、背中を押してくれている。
3桁の背番号「136」を付けた高橋礼が、11日の練習でもブルペン入り。ストレート、スライダー、カーブ、シンカーを駆使しながら65球を投げ込んだ。
打者に見立てて右打席に置いたダミー人形に、ボールが直撃すること3度。それほど相手打者の懐を攻めることを意識して練習しているのだが、「とはいえ、やはりぶつけてしまうのは良くありません。コントロールが課題です」と受け止めた。
千葉・専大松戸高、専大を経て、2017年ドラフト2位でソフトバンク入り。2年目の2019年には23試合に先発して12勝(6敗)を挙げ、ブレークを果たした。2023年オフ、泉圭輔投手とともにアダム・ウォーカー外野手(現オイシックス新潟アルビレックスBC)との2対1のトレードで巨人へ移籍。初年度の2024年に開幕3戦目の阪神戦先発を任され、6回無失点の快投を演じて復活を印象づけたが、シーズン2勝(2敗)にとどまり、昨季は1軍登板なしで新天地に活路を求めることになった。
育成選手という立場だけに、「開幕1軍に残れれば、当然支配下登録も勝ち取れる。“短期決戦”だと思っています。今こうして1軍にいられるチャンスを逃したくありません」と切迫感を漂わせる。
投球スタイルにも変化を加え、「真っすぐの比率を少し下げ、シンカーを多くしていこうかなと思っています」と明かす。「右のアンダースローの僕は、左打者との対戦が肝になります。そこでゴロを打たせたり、空振りを取ったりするには、速い変化球が必要」と痛感しているからだ。
2021年1月には+牧田和久氏、2024年12月には+中川颯&下川で合同自主トレ
一方の與座は、沖縄尚学高、岐阜経済大(現・岐阜協立大)を経て、高橋礼と同じ2017年のドラフトで西武から5位指名を受け入団した。プロ1年目の2018年10月にトミー・ジョン手術を受け、いったん育成選手となるなど、プロ人生のスタートは苦難の連続だった。それでも2020年から支配下に復帰すると、2022年には先発ローテ入りして10勝7敗、防御率2.88と活躍。昨季も16試合に先発し6勝5敗、防御率2.50の好成績を挙げた。
高橋礼と與座は2021年1月、当時楽天の現役投手だった牧田和久氏(現ソフトバンク4軍投手コーチ)とともにチームの垣根を越え、アンダースロー3人による合同自主トレを実現させている。2024年12月にも、高橋礼と與座の2人にDeNA・中川颯投手、ヤクルト・下川隼佑投手を加え同様の自主トレを行った。
近年の球界で希少価値が高く“絶滅危惧種”とも呼ばれるアンダースローだが、同一チームに複数存在するのはさらに珍しい。
高橋礼は「與座とは、お互いの下半身の使い方などを共有しています。アンダースローというのは、運動連鎖が途切れるとボールが弱くなってしまう投げ方なので」と明かす。「彼とは今もいい話ができていますし、シーズン中も続けていけたらと思います」と目を細めた。
もともと西武には前出の牧田氏、「兄やん」こと松沼博久氏、高橋直樹氏らアンダースローが活躍した歴史もある。チームメート同士で助け合い、“アンダースロー族”の存在価値も高めていけるなら、ファンも大歓迎だろう。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)