1日で魔球誕生…ダルビッシュが伝授した「圧のかけ方」 侍投手陣にもたらす更なる進化

17日、ツーシームについて投手陣にアドバイスするダルビッシュ有【写真:小林靖】17日、ツーシームについて投手陣にアドバイスするダルビッシュ有【写真:小林靖】

ダルビッシュがNPBトップクラスの投手に授けた“変化球理論”

 侍ジャパンの宮崎合宿に臨時アドバイザーとして参加しているダルビッシュ有投手が、NPBを代表する投手陣へ惜しみないアドバイスを送っている。その中でも投手たちが早速取り入れ、変化を実感しているのがツーシームだ。

 第2クールの初日となった17日の午後、サンマリンスタジアムのサブグラウンドでは、ダルビッシュが高橋宏斗、伊藤大海、種市篤暉、北山亘基、松本裕樹、大勢の6投手にツーシームについてのアドバイスを10分ほど送っていた。

 ピッチングは物理学だ。同じ握りでボールを持っても、それぞれのフォームやリリースの仕方、位置によって曲がり方は異なる。メジャーではほとんどの投手が投げるツーシーム。扱いに長けるダルビッシュが伝えたのは、単に握りだけではなく「どこに圧をかけるか」ということだった。

 北山は「『北山君のリリースはボールのこの辺を意識して投げてみたらいいんじゃない?』とアドバイスをいただきました。これまでは手先で合わせて投げていたんですけど、思いっきり腕を振っても変化がつくような感じで。かなりよかった」と振り返る。

「(変化球は)シームシフトという空気抵抗を使って変化をつける方法が一つと、自分のリリースのアングルだったり、ポイントから逆算してボールのどこに圧をかけるかということ。今回はその後者」

ツーシームについて話し合う投手陣【写真:小林靖】ツーシームについて話し合う投手陣【写真:小林靖】

1人1人に違ったアドバイス「この選手にはこういうのがいいんだろうなという話をした」

 キャッチボールですぐさま試投すると、見ていた伊藤も「エグい!」と驚き。北山も「すごく強さもありながら、変化もつく。初めてそういうボールがいったので。自分でもびっくりしています」と驚いていた。18日のライブBPでは早速打者相手にツーシームを投じた。

 ダルビッシュは「1人1人回転も違いますし、握り、リリースの仕方、ボールに圧をかける場所も違うので。そのあたりを見ながら。この選手にはこういうのがいいんだろうなという話をした」と話す。18日、19日とキャッチボールで熱心にツーシームを試している伊藤も「(ボールが)動きやすくなった。これなら(実戦でも)使えるかなという感じになっている」と好感触を得ている。

アナリストの星川太輔氏、松本裕樹、ダルビッシュ有(左から)【写真:小林靖】アナリストの星川太輔氏、松本裕樹、ダルビッシュ有(左から)【写真:小林靖】

 今回の合宿では、ブルペンにはトラックマンが2台、投げる投手の横には必ずタブレット端末が設置され、投げたボールのデータをすぐに確認することが出来る。3年前の合宿では一つだけだったが、ダルビッシュがデータを活用する姿を見た投手たちがチームに経験を持ち帰り、3年間で当たり前の光景になった。

 アドバイザーという形で侍ジャパンの一員となったダルビッシュは、積極的に話しかけることはせず「何か質問があれば、自分の考えていることを伝えたい」と、どっしりと構えている。選手たちは「ダルさん」と慕い、ブルペン投球後には全員がアドバイスを受けに歩み寄っている。各球団の主力投手にとっては、偉大な先輩から直接手ほどきを受けられるまたとない機会。WBC連覇、そして今後の球界の未来のためにも、重要な宮崎合宿になっている。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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