大谷翔平を「誇りに思う」 台湾記者が伝える“リアル”…認識する侍Jとの実力差

WBCに臨む侍ジャパン【写真:Getty Images】
WBCに臨む侍ジャパン【写真:Getty Images】

現役NPB選手5人、NPB経験者3人が代表入り「関心が高まっている」

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕が目前に迫る中、2日に宮崎・SOKKKENスタジアムで行われる予定だったチャイニーズ・タイペイ(台湾)とオリックス2軍の強化試合は雨天中止。約20社・50人の台湾メディアは、残念そうに雨空とシートを被せられたグラウンドを見つめていた。

 チャイニーズ・タイペイはメジャーリーガーが参加しなかった2024年11月のWBSCプレミア12の決勝で、日本を4-0で破り優勝を果たした。今回のWBCの1次ラウンドでも日本と同じ「プールC」に属し、準々決勝進出を争うライバルとなる。

「プレミア12の決勝で日本を破ったとはいえ、あの時の日本にメジャーリーガーがいなかったことは、われわれメディアもファンも承知しています。実力的にはまだ差があると認識しています」。こう語るのは、ケーブルテレビ「緯來電視網(ビデオランド)」のリン・ウェイ記者だ。

「大谷翔平選手(ドジャース)の活躍は、同じアジアの野球ファンとして誇りに思いますし、山本由伸投手も昨年のワールドシリーズ第7戦のピッチングで、台湾での人気も高まっています」と続ける。DAZN(ダゾーン)やケーブルテレビで日本のプロ野球の試合を視聴するファンもいるそうで、「以前は台湾の選手が海外に進出するとなると専ら米国でしたが、最近は日本でプレーする選手が増え、関心が高まっているのです」と説明する。

 確かに、今回のWBCのチャイニーズ・タイペイ代表にも、現役NPB選手5人とNPB経験者3人が含まれている。現役は日本ハム・古林睿煬(グーリン・ルェヤン)投手、同・孫易磊(スン・イーレイ)、ソフトバンク新助っ人の徐若熙(シュー・ルオシー)投手、ソフトバンク育成の張峻ウェイ(チャン・ジュンウェイ)投手、西武・林安可(リン・アンコー)外野手。経験者は元西武・呉念庭(ウー・ネンティン)内野手、元ロッテ・陳冠宇(チェン・グァンユウ)投手、元オリックス・張奕(ジャン・イー)投手である。

台湾のケーブルテレビ「緯來電視網」の取材陣【写真:宮脇広久】
台湾のケーブルテレビ「緯來電視網」の取材陣【写真:宮脇広久】

日本で人気のチアガール軍団も厳選12人が来日へ

 日本と台湾は大地震など天災に見舞われる度にお互いに支援し合うなど、非常に親交が深い。ただ、台湾の野球ファンにとっては、悔しくて忘れられない日本戦があるという。2013年に行われた第3回WBCの2次ラウンドでの対戦だ。

 日本は1点ビハインドのまま、9回2死一塁の崖っぷちに追い込まれていた。ここで鳥谷敬内野手が、後に“神盗塁”と称賛されることになる二盗に成功。すかさず井端弘和内野手(現野球日本代表「侍ジャパン」監督)が右前へ同点適時打を放った。試合は結局、延長10回に中田翔外野手が決勝犠飛を打ち上げ、日本は九死に一生を得たのだった。

 日本出身で台湾在住のライター・駒田英さんは「あの鳥谷選手の盗塁は、微妙なタイミングだったことから、台湾ではいまだに『あれはアウトだった』と言うファンもいます。一方、あのWBCでの健闘をきっかけに、八百長問題の影響などで長らく低迷していた台湾プロ野球の人気が、復活へ向かったのも事実です」と解説する。

「台湾のファンにしてみれば、2013年のWBCで同点打を放った井端さんが監督を務める日本代表を、プレミア12の決勝で破って優勝できたことは感慨深いことでした。舞台も同じ東京ドームでしたから、なおさらです」と続ける。こうなると台湾には、今回のWBCで正真正銘、同じ大会で日本にリベンジしたいと考えているファンも多いことだろう。

 また、日本にはいま、台湾プロ野球(CPBL)のキュートなチアガールに熱い視線を注ぐファンが数多く存在する。既に今回のWBCへ向け、チャイニーズ・タイペイ代表のチアガールとして6球団から6人、計36人が選抜されている。1次ラウンドが行われる東京ドームのスタンドは、比較的手狭でステージを大きく取れないため、さらに12人に絞られ来日する予定だという。

 今回のWBCの1次ラウンドで、日本は今月6日のチャイニーズ・タイペイ戦が初戦。一方、チャイニーズ・タイペイは前日(5日)のオーストラリア戦に続いて2戦目となる。このあたりが勝敗に影響するのかどうか。日本としては決して油断できない相手だ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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