マチャドと記念撮影した11歳少年が…12年後に譲り受けた背番号「13」 まさかの劣勢を一変させた師弟の絆

  • 佐藤直子 2026.03.08
  • 海外
ドミニカ共和国代表の主将を務めるマニー・マチャド【写真:ロイター】ドミニカ共和国代表の主将を務めるマニー・マチャド【写真:ロイター】

嫌なムードが漂うニカラグア戦…流れを一気に引き寄せた6回の2ラン

 米フロリダ州マイアミにあるローンデポ・パークでは6日(日本時間7日)、2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)1次ラウンドのプールD・第1日が行われた。「大会史上最強」の呼び声高いドミニカ共和国は、第2試合でニカラグアと対戦。一時はリードを許す、まさかの展開となったが、6回から本領発揮で得点を重ね、最終的には12-3と突き放して1勝目を飾った。

 試合の流れを力強く引き寄せたのが、今大会は主将を務めるマニー・マチャド内野手(パドレス)とジュニオール・カミネロ内野手(レイズ)の“師弟コンビ”だった。

 先発左腕のクリストファー・サンチェス(フィリーズ)は初回、先頭打者を振り逃げで出塁させると(記録は暴投)、味方の拙守と2連打で、1死も記録しないうちに1点を先制された。その裏の攻撃であっという間に2点を返して逆転するも、2回に再逆転されてしまう展開。3回になんとか同点に追いつくも、初見のニカラグア投手陣を前に自慢の“銀河系打線”が繋がらない。

 完売のスタジアムを埋める3万5127人のうち、およそ8割はドミニカ共和国を応援する完全ホーム状態だ。だが、4回、5回と続けて3者凡退に倒れると、ニカラグア応援団は大喜び。嫌なムードが漂い始めた6回のことだった。

 同点の均衡破ったのが、頼れる主将のバットだ。先頭のマチャドが左翼へ二塁打を運ぶと、続くカミネロは中堅フェンスを越す2点弾を一閃。予想外の苦戦で高まっていた緊張感が一気に解き放たれ、球場はまるでサヨナラ勝ちしたかのような大騒ぎだった。

 チームにとってはもちろんのこと、マチャドとカミネロの2人にとって特別な場面となった。代表チームとして初練習に臨んだ1日(同2日)、マチャドはおなじみの背番号13をカミネロに譲り、自身は2番を背負うと発表。自らの後継者に指名していた。カミネロは「夢のような出来事だった」と振り返る。

背番号13を背負うジュニオール・カミネロ【写真:アフロ】背番号13を背負うジュニオール・カミネロ【写真:アフロ】

憧れのマチャドと記念撮影…12年後に実現した夢のような瞬間

 2人が初めて会ったのは2014年。当時11歳だったカミネロは米国が舞台となった少年野球の国際大会に出場し、見学に訪れたオリオールズ戦で憧れの選手・マチャドに記念撮影をお願いした。あれから12年経った今、2人は同じ代表ユニホームを身にまとい、カミネロの背中には憧れの「13」が燦然と輝く。

【【指示:カミネロの背番号13の写真があれば入れてください】】

 13番を背負って果たした大仕事。「国を代表して戦うことは最高の誇り。最高の気分だよ」と笑顔が止まらない。「自分はまだ若い。コーチ陣にも信頼を置いてもらえるようになりたい」と練習を積み重ねた。すると、6回の打席に向かう時、アルバート・プホルス監督から「間違いない。君ならホームランを打てる」と一言。期待に結果で応えてみせた。

 若手の頃はやんちゃなイメージの強かったマチャドだが、今年でメジャー16年目。所属するパドレスでも頼れる兄貴分として若手に目を掛け、代表ではキャプテンマークを胸にチームを1つにまとめあげる。ドミニカ共和国出身の両親の元、マイアミで生まれ育ったが自身のルーツへの愛と忠誠心は計り知れない。今年に入って届いたのが、ドミニカ共和国での選挙権が与えられたという知らせ。「これで誰が何と言おうと、僕はドミニカ共和国の人間だ」と胸を張る。

 野球を通じて「1人でも多く、できることなら関わる人全員にいい影響を与えていきたい」と話す33歳。この日の試合前、タレント揃いのチームをまとめるコツを聞かれると、こう言った。

「このチームはリーダーの資質を持った選手が集まっているから、多くを語る必要はない。国を挙げて応援してくれるドミニカ共和国のために全力を尽くすだけ。いつも通り、自分たちの野球に徹する。それだけだ」

 この日は守備でも超美技を連続披露し、チームを救ったマチャド。頼れる主将が3大会ぶり2度目の優勝へチームを牽引する。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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