ドラ2入団も4年で戦力外「もっと遠回りしても」 “大谷世代”の明暗…消えていった感覚

ライオンズアカデミーコーチの中塚駿太氏【写真:篠崎有理枝】
ライオンズアカデミーコーチの中塚駿太氏【写真:篠崎有理枝】

2016年ドラフト2位…2021年オフに戦力外

 西武、クラブチーム、独立リーグでプレーし昨季限りで現役を引退した中塚駿太氏が、今年からライオンズアカデミーのコーチに就任した。2016年ドラフト2位で入団しながら、思うような結果を残せずに歩んだ9年間。苦悩と後悔、そして野球への思いを語った。

 コントロールに苦しみ、試行錯誤の日々が続いた。「意外と繊細なタイプなので、いい時の感覚じゃないと『あれ?』ってなってしまう。いい時の感覚に戻そうとして時間がかかったり、そんなことばかりでしたね」。きっかけを掴みかけながらも、それを継続できなかった現役時代を中塚氏は振り返る。

 入団4年目の2020年は自己最多の6試合に登板し、手応えも感じていた。2021年の春季キャンプではA班スタートが決定。「今年はもう少し1軍で投げられるかな」と期待を抱いていた矢先、キャンプ前の自主トレで足を捻挫した。患部をかばったことで肩も痛め、リハビリはシーズン中盤まで長期化した。

「嬉しくて張り切りすぎて、完全に空回りしていました。夏前には『今年でダメだろうな』って思っていました。そこからは切り替えて、後悔しないようにやることにしました」

 その年のオフに戦力外通告を受けたが、驚きはなかった。引退も頭をよぎったものの、秋に参加した「みやざきフェニックス・リーグ」で球速が上がったこともあり「まだできるかもしれない」と現役続行を決断。12球団合同トライアウトを経て、クラブチームの「ジェイファム」に入団した。

 しかし、親会社の経営難で入社2年目に休部なり、自身2回目のトライアウトを受け、ルートインBCリーグの信濃グランセローズに入団。投手コーチを兼任した。指導する立場になり、現役時代を振り返る機会が増えたという。

「当時はコーチに指導されても、何試合か投げると『自分の感覚のほうがいい』ってすぐに戻してしまいました。1、2回で変わるわけがないのに『もうダメだ』ってすぐに変えてしまった。『もっと遠回りしてもよかったのかな』って後悔しています」

大谷と同じ31歳、いまでも忘れない2017年の“投げ合い”

 2025年シーズン限りで現役を引退。引退はシーズン前から決めており、誰よりも練習をして後悔のない最後の1年を送った。現在はライオンズアカデミーで子どもたちを指導。「どんな言葉なら伝わるのか、身振り手振りを交えて考えながらやっています」と新たなやりがいを口にする。

 ドジャース・大谷翔平投手と同じ31歳。190センチを超える長身という共通点もあり、入団当初は比較されることもあった。2017年、ファームで調整していた日本ハム時代の大谷と投げ合った経験は、今も忘れられない思い出だ。

「大谷選手がマウンドを降りて、僕が上がった瞬間、グラウンドに並んでいた30人くらいのカメラマンが一斉にいなくなりました。彼はスーパースターだなって思いました。一緒に投げ合えたことは、僕のプロ野球人生の自慢です」

 思い通りにいかないことばかりだった現役時代だが、「ここまで野球に携われているのは幸せです。できるなら、死ぬまで野球に関わっていきたいと思います」と笑顔で語り、歩んできた野球人生への誇りをにじませた。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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