1次ラウンドで開幕3連勝…3試合全てで2桁得点の迫力
2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で優勝候補筆頭に上がるドミニカ共和国が、期待に違わぬ快進撃を続けている。1次ラウンド・プールDでは開幕3連勝。3試合全てで2桁得点を記録し、総得点34に対し、総失点はわずか5。初戦のニカラグア戦こそ硬さが目立ったが、1度勢いづいたらアッという間に相手を飲み込む瞬発力は、さすが、の一言だ。
野球日本代表「侍ジャパン」が狙う2度目の大会連覇と同様に、ドミニカ共和国が至上命令として掲げるのが2013年以来、3大会ぶりの優勝だ。その本気度は“大会史上最強チーム”の呼び声高いメンバーを見ても明らかだが、彼らをバックアップするべく集まったレジェンドOBたちの顔ぶれを見れば一目瞭然だろう。
ドミニカ共和国野球連盟はまず、2014年本塁打王のネルソン・クルーズをGM、そしてMLB最高打者の1人、アルバート・プホルスを監督に任命。2人の求心力を生かしながら、スーパースターが勢揃いする“銀河系軍団”を作り上げた。さらに、チームが大会期間中にハイレベルの戦いを続けることができるよう、技術面・精神面からアドバイスを送るOBたちをアドバイザーに任命した。
アドバイザーに名を連ねるのは、サイ・ヤング賞3度のペドロ・マルチネス、通算541本塁打のデビッド・オルティス、2004年本塁打王のエイドリアン・ベルトレ、2016年打点王のエドウィン・エンカーナシオンら、2010年代のメジャー史を彩った立役者ばかり。緊張感の高い修羅場を何度もくぐり抜けてきた百戦錬磨のアベンジャーズでもある。
名ばかりのアドバイザーではない。チームに同行し、実際に選手へアドバイスを送る姿はおなじみのものとなっている。マルチネスは試合中に気付いたことをまとめ、CY賞の後輩でもあるサンディ・アルカンタラやクリストファー・サンチェス、ブライアン・ベロらに助言。オルティスは期待の若手ジュニオール・カミネロが打撃練習する様子を撮影し、動画を見ながら具体的な指導をする。何か困ったことがあれば、すぐに頼れる存在がいるのは大きな安心に繋がるだろう。
守備の名手しても知られるベルトレは、同じ三塁手のカミネロから色々な質問を受けたという。「こういう舞台では、小さなミスが勝負の行方を大きく左右する。雰囲気に飲まれて浮つかないように、勢いづきすぎて基本が疎かにならないように。自分の経験が役立てばと思って伝えているんだ」と明かす。
2004年HR王のベルトレ「ドミニカ共和国の人々にとって、野球は特別なもの」
母国のために一肌脱いでくれたOBたちに、「連盟がいい仕事をしてくれた」と話すプホルス監督も感謝の言葉が止まらない。
「ご存知の通り、集まってくれたOBは輝かしい経歴の持ち主ばかり。成功を収めたOBが集まってくれたことこそ、今大会に懸ける国としての思いが込められている。選手のモチベーションを高めたり、困った時は頼りになってくれたり、本当に素晴らしい仕事をしてくれている」
ドミニカ共和国では野球は国技のようなもの。野球に興味がないという人を探す方が難しいくらいだ。すべての国民が2013年に優勝した時の熱狂をもう一度味わいたいと、2度目の優勝を渇望しているという。大きな期待は、時として大きなプレッシャーにもなり得る。ベルトレは「だからこそ、チームを支えたい」と話す。
「ドミニカ共和国の人々にとって、野球は特別なもの。引退した後でも、こうして代表チームに関われることがうれしい。今回選ばれた選手たちは、みんな素晴らしい才能の持ち主だから、必ず優勝を掴み取ってくれると思う。そのためにも、本番で実力を発揮できるよう彼らをバックアップしていくのが、自分たちアドバイザーの役割だ。選手はここまで順調な試合運びをしてくれているけれど、決勝ラウンドからまた1つ、レベルの違う戦いとなるはずだ」
13日(日本時間14日)から始まる決勝ラウンドの前に、ドミニカ共和国には世紀の大一番が残されている。ともにプールDで3連勝中のベネズエラとの対戦だ。開催地マイアミに集まる両国の報道陣は「これこそ事実上の決勝戦」と鼻息が荒い。
ニカラグア代表のダスティ・ベイカー監督の言葉を借りれば、どちらも「ヘビー級ファイター」。直接対決を制し、勢いよく決勝ラウンドへ進めるか。ドミニカ共和国の本気が見られるはずだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)