大阪のホテルでチェンジアップ“習得” サトリアが侍ジャパンを手玉に取った魔球…11年前に“日本との縁”

  • 上野明洸
    上野明洸 2026.03.12
  • 海外
日本戦に先発したチェコ代表のオンジェイ・サトリア【写真:加治屋友輝】日本戦に先発したチェコ代表のオンジェイ・サトリア【写真:加治屋友輝】

チェコ代表サトリアが独自インタビューで明かした“宝刀”との出会い

 魔球とともに、チェコの野球史に残る投手となった。第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場したオンジェイ・サトリア投手は、10日の日本戦に先発し、4回2/3を3奪三振無失点の好投を披露した。日本の好打者も次々と空振りしたのが、110キロ前後のチェンジアップ。サトリアとこの変化球との出会いは、18歳の時だった。

 身長175センチで細身の体格。日本戦で投じた最速は129キロでも、真上から投じられるスピンの効いた直球と、同じ腕の振りで繰り出す110キロ台のチェンジアップのコンビネーションで、打者に的を絞らせなかった。

 前回大会では大谷翔平投手を空振り三振に仕留め、一躍話題となった。150キロ台の直球が当たり前となった時代で、“遅球”を駆使して侍打線を封じたピッチングは、世界にインパクトを与えた。

 サトリアがチェンジアップを投げ始めたのは、11年ほど前のこと。奇しくも、日本に“縁”があった。

「以前はスプリットを投げていたんだけど、指が短すぎてうまく扱えなかったんだ。U-18の大会中のある夜、ホテルのベッドに寝そべりながらボールを上に放り投げてチェンジアップの握りを試していたら、『これ、いいかも』と思って」

 サトリアは2015年に大阪などで行われた「第27回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で、チェコ代表として来日している。「翌日の試合で試したら8個くらい三振が取れた。それが私のチェンジアップの始まりなんだ」と髭を触りながら明かした。この大会では9月4日の南アフリカ戦(豊中ローズ)に先発し、7回2/3を投げて9奪三振2失点(自責0)の好投を見せている。

試合後、サトリアには東京ドームのファンから大きな拍手が贈られた【写真:加治屋友輝】試合後、サトリアには東京ドームのファンから大きな拍手が贈られた【写真:加治屋友輝】

投球の極意「制球こそが僕の最大の武器だ」

 運動センスは抜群だった。以前はもっと速い球も投げられていたが、勝てる投手になるために追い求めたのはコントロールだった。

「制球こそが僕の最大の武器だ。私の速球は彼ら(相手国)にとってはバッティングピッチャーのボールのようなものだからね。外野手もやっていた頃は87マイル(約140キロ)くらい出ていたんだけど、コントロールが悪くて今より良くない投手だった。今は上下左右に投げ分けることができるんだ」

 その言葉通り、代表最後のマウンドとなった日本戦では、四死球ゼロ。6日の豪州戦(東京ドーム)でも3回2/3を無失点に抑えて四球は1個だけと、磨き続けたコントロールが輝いていた。

 満員の東京ドームを幻惑投球で魅了。試合後、グラウンドに立つサトリアに、万雷の拍手が注がれた。「私にとっては最高のエンディングだった」。流行に逆行した投球術は、ファンの記憶に深く刻まれた。

(上野明洸 / Akihiro Ueno)

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