韓国球界を変えた“侍Jからの屈辱” 3年で様変わり…ドミニカ共和国に惨敗も先駆者が見た光

  • 佐藤直子 2026.03.16
  • 海外
WBC準々決勝でドミニカ共和国代表に敗れた韓国代表【写真:荒川祐史】WBC準々決勝でドミニカ共和国代表に敗れた韓国代表【写真:荒川祐史】

アジア人投手歴代最多記録のメジャー通算124勝を誇る朴贊浩氏

 13日(日本時間14日)に米マイアミのローンデポ・パークで行われた2026 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準々決勝。優勝候補筆頭のドミニカ共和国が自慢の打線で韓国を圧倒し、10-0で7回コールド勝ちを収めた。韓国は実力の差をまざまざと見せつけられた形になったが、「この経験が次につながる一歩になれば」と願うのが、韓国人として初めてメジャーリーガーになった朴贊浩(パク・チャンホ)氏だ。

 惨敗の中にも未来へ続く一筋の光が見えている。2009年の第2回大会で日本と死闘を演じて以来、17年ぶりの決勝ラウンド進出。30人の登録メンバーのうち22人が20代、投手の中には19歳と20歳も名を連ねる若きチームに対し、朴氏は「ここまで来たことを誇りに思ってほしい。そして何より、このアメリカで、MLBのチームが本拠地とする球場でプレーすることを楽しんでくれたら」と願っている。

 アジアでは日本と双璧をなす強豪国に数えられる韓国だが、2015年の第1回WBSCプレミア12で優勝を飾ったものの、ことWBCに関しては1次ラウンドを突破できない苦しい時間が続いた。そして、2023年の前回大会では、1次ラウンドで日本に4-13で惨敗。朴氏によると「何かを変えなければいけないと、韓国球界が本気で感じた」出来事だったという。

現在の朴贊浩氏【写真:荒川祐史】現在の朴贊浩氏【写真:荒川祐史】

思わぬコリアン・ジョークも「選手がみんなハンサムになったでしょ?」

 朴氏の言うとおり、今大会で韓国が1次ラウンドを突破できたのは、爆発力のある打線が主な要因だ。そして、準々決勝では9投手を注ぎ込みながらも、スター選手が揃うドミニカ共和国の重量打線に粉砕された。だが、ここで味わった苦い思いや悔しさが、若い選手の成長を促すことを韓国野球における“パイオニア”は期待している。

「韓国の国内リーグ(KBO)も日本やメジャーで経験を持つコーチを招聘したり、新たな育成システムを導入したり、様々な取り組みを実践しているところ。野球のレベルに関して言えば、10年前に比べると大きな成長を見せている。今回のWBCで決勝ラウンドを経験できたことは大きな財産。この先の成長が加速することを期待したいね」

 メジャーで16年のキャリアを送った後、2011年にはオリックスでもプレーした朴氏。メジャー通算124勝はアジア人投手歴代最多記録として球史に刻まれている。

ドジャース時代の朴贊浩氏(2001年)【写真提供:産経新聞社】ドジャース時代の朴贊浩氏(2001年)【写真提供:産経新聞社】

 今大会には韓国のテレビ解説として参加。白シャツとスラックスをすっきりと着こなし、試合前にサインを求めるファンに笑顔で対応する姿からも、韓国チームがまずは1次ラウンドを突破するという目標をクリアした事実がうれしい様子がうかがえる。韓国野球の未来は明るい。そんな思いからか、思わぬコリアン・ジョークも飛び出した。

「10年前に比べて変わったことがもう1つ。選手がみんなハンサムになったでしょ?(笑)」

 確かに……。でも、感情をむき出しにした顔で、時にはマウンド上で吠え、時には跳び蹴りを繰り出して乱闘騒ぎを引き起こしてしまう朴氏もまた、魅力的な選手だった。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

RECOMMEND