日本を打ち負かしたベネズエラにも誹謗中傷 監督が貫く姿勢「厄介事でも背負う覚悟」

快進撃も…SNSでは当たり前のように批判の声「これは時間をかけて学んだこと」
イタリアとの準決勝を制し、会見場に現れたベネズエラ代表のオマール・ロペス監督の言葉は、これまでの会見よりも力がこもっていた。躍進に導く裏で、監督としての苦悩と戦いを中心に約25分間力説した。
ベネズエラは1次ラウンドではドミニカ共和国に次いでプール2位で準々決勝に進出。前回王者の日本相手を打力、投手力で圧倒し、その勢いのまま準決勝でもイタリアを破った。
ロペス監督は「(決勝進出という)夢が叶ったので少し緊張しています。これは私だけの成果ではありません。今日私たちがここにあらゆる意味で立っていられるのは、あまりにも多くの人々の協力があったからです」と決勝進出の意義を語った。
監督という職業柄、批判や中傷は付きもの。それでもロペス監督は「国に喜びを与えるためなら、どんな厄介事でも背負う覚悟です」と語気を強めた。
勝っても負けても、SNSには心無い声が飛び交う。「2、3日前に、私の電話番号を知っている人たちから『オマール、人々の言うことは気にするな。忘れろ』といった(応援)メッセージが大量に届いたんです。(誹謗中傷が飛び交っていると知って)私はなんてこったって思いましたよ。でも私はSNS上のコメントは一切見ませんでした」。
「世間の言い分は分かりますが、私にはそれをコントロールすることはできません。私がコントロールできるのは、自分の決断だけです。もし私がミスを犯したら、ここに座って『私がしくじった。ミスをした。私が責任を取る』と言います。しかし、私には確固たる信念があります。何百万もの異なる意見があることは承知していますが、それは私にはコントロールができないことです」
日本代表への誹謗中傷が騒動に
準々決勝で敗退した日本代表に対してもSNSでは誹謗中傷の声があがり、選手会が再三注意を促すなど騒動となっている。それはどの国でも同じで、ロペス監督は対処法を明かす。
「これは時間をかけて学んだことです。5年、7年前の私は違いました。今は『落ち着け、オマール。自分がやりたいことの方向性を見失うぞ』と言い聞かせています」
「ただ、選手たちはSNSを見ます。だからこそ私の仕事は彼らにこう伝えることです。『今日は批判されても、明日勝てばそれを喜びや称賛に変えることができる。だからコントロールできないことに労力を割くな』と」
ロペス監督は2023年のWBCでも指揮を執ったが、準々決勝で米国に敗れ、誹謗中傷の矛先は妻にも向けられた。妻からと辞めるようにも言われたが、今回の大会を最後とし、全力を尽くすことを自分自身に誓った。
「私が(ベネズエラ人という)家族といる限り、そして家族が私のことを愛し続けてくれる限り、私は彼らと最後までやり切る。もちろん、このことは多少なりとも母国に影響を与えるだろう」。身振り手振りを交え熱く語った指揮官。野球強国の威信を背負い、最高の相手と決着をつける。
(上野明洸 / Akihiro Ueno)