魂の188球、ついこぼれた涙 相棒が見た強み…エースの完投にあった“地獄の冬トレ”

大垣日大・竹岡、延長10回9奪三振で完投
最後までマウンドに立ち続けた。第98回選抜高校野球大会は22日、大会4日目が行われ、大垣日大(岐阜)の左腕・竹岡大貴投手(3年)が近江(滋賀)との1回戦に先発。タイブレークの延長10回まで188球を1人で投げ抜き、チームを2-1の勝利に導いた。
渾身の力を振り絞った。2点を勝ち越した延長10回。9回までに168球を投げていた竹岡は、その裏のマウンドに向かった。無死一、二塁から始まるタイブレーク。1死後、暴投と四球で満塁とピンチが広がり、押し出し四球で1点差に迫られたが慌てない。最後の力を振り絞り三振、遊ゴロでピンチを脱して4年ぶりの初戦突破を果たした。
マウンドから整列に向かう際は思わず膝をつき、ナインから抱きかかえられる場面もあった。感極まった表情で整列すると、思わず涙があふれた。「苦しい場面もあったが、夢だった場所で勝利を飾ることができて、つい涙が出てしまった」。試合後には笑みを浮かべながら、そう答えた。
9回まで緊迫した投手戦。走者を背負いながらも粘り強い投球を披露し、スコアボードに0を並べ続けた。均衡を破ったのは延長10回。代打・高橋遼外野手(3年)が値千金の2点適時二塁打を放つと、エースがリードを守り切った。最後まで背番号「1」にマウンドを託した高橋正明監督も「代えるということは考えられませんでした」と竹岡の投球を称えた。
177センチ、75キロの体に宿る無尽蔵のスタミナ。188球を投げ切った背景には過酷な冬場の練習があった。岐阜県内の金生山で、連日1時間ランニング。体力強化のサーキットトレーニングも行い、竹岡は「いつになったら終わるんやという気持ちでした。でも、それを耐え抜いたのも、甲子園があったからで、チーム全体でやりきれた」と振り返る。バッテリーを組んだ“女房役”の高田宗敬捕手(2年)も「金生山を1時間走り込むことが、断トツできついのですが、メンタルを強化するためには必要な練習でした」と明かす。
トレーニングの成果が発揮され、高田は「受けていてもベンチから見ても、最後まで球の威力は変わらなかった」と球威が衰えなかったことを強調する。「メンタル面も強くて、あの厳しい場面であそこまで抑えられるっていうのは凄い」と、エースの強みを説明した。
1週間に500球までの球数制限がある現在の高校野球では複数の投手を起用することが多く、188球は異例の投球数と言える。それでも、竹岡は疲れた様子も見せずに前を向いた。「1回戦で終わるチームじゃない。これからも勝っていきたい」。“地獄の冬トレ”で培った不屈の精神で、この先もマウンドを守り抜く覚悟だ。
(岡部直樹 / Naoki Okabe)