甲子園でノーノーから39年…立ちはだかった“同じ相手” 凱旋で知った現実「悔しさしか」

指導者として39年ぶりに甲子園に戻った帝京長岡・芝草宇宙監督【写真:加治屋友輝】
指導者として39年ぶりに甲子園に戻った帝京長岡・芝草宇宙監督【写真:加治屋友輝】

春夏通じて初出場の帝京長岡…監督は元日本ハムの芝草宇宙監督

 縦じまの“帝京”のユニホームを身にまとい、39年ぶりに甲子園に戻ってきた。第98回選抜高校野球大会は23日、大会5日目が行われ、第1試合は芝草宇宙監督率いる帝京長岡(新潟)が東北(宮城)に1-5で敗戦。初出場での初戦突破はならなかった。

「本当に2時間という、あっという間のゲームで、まだまだ甲子園で試合がしたいっていう思いが今も正直あります。悔しさしか残っていないです」。芝草監督はそう胸中を明かした。

 高校時代、帝京のエースとして甲子園に3度出場。1987年夏には2回戦の東北高戦でノーヒットノーランを達成するなど、ベスト4に進出に貢献した。卒業後はドラフト6位で日本ハムに入団し、プロ通算430試合に登板して46勝を挙げた。

 日本ハムでの投手コーチ、スカウトなどを経て2020年4月に帝京長岡の監督に就任。昨秋は新潟大会で第3代表となると、北信越大会で初優勝を飾り、同校を春夏通じて初の甲子園に導いた。自身にとっては39年ぶりの聖地凱旋だった。

 試合前にはベンチに入って久々の球場を見渡した。「きょう采配するのかと思いながら、その位置に行ったんですけど、すごく景色が良くて本当に甲子園球場はいいなと思いました」と感慨深げに語っていた。

バス17台、総勢946人の大応援団が駆けつける

 ただ、自身が躍動した甲子園で、ナインは本来の力を発揮できなかった。先発の工藤壱朗投手(2年)は制球が定まらず、初回に2つの押し出し四球を与えて2失点。2回にも2点を失い、5回途中で降板した。いきなり劣勢に立たされる苦しい展開となり、打線も1点止まり。自身が現役時代に“ノーノー”を達成した相手に、今度は甲子園の厳しさを味わうことになった。

 自身の経験は、事前に選手たちへ伝えていたという。工藤は「甲子園は、いつもよりすごい力が出る場所でもあるし、逆にうまくいかない選手は何もできずに終わってしまう場所だと言われていました」と振り返る。2番手で登板して5回1失点と粘った西脇駆投手(3年)は「芝草監督がいるので、投手としてすごくいい成長ができると思い、この学校を選びました」と感謝の言葉を口にした。

 芝草監督は厳しさだけでなく、意外な一面もある。安藤日美華マネジャー(3年)は「試合前に優しく声をかけてくれます。結構冗談も多くて、監督が私にサインを出すジェスチャーをしたり」と明かす。選手の緊張をほぐすために、場を和ましている様子がうかがえた。

 学校からは生徒と保護者、教員合わせて946人が、前日の午後9時にバス17台で出発して応援に駆けつけた。2回に同校の甲子園初得点となる1点が入ると大歓声。最後まで諦めずに奮闘を続けた選手たちに、声援を送り続けた。

「初回に流れを持っていかれたところを、夏は自分たちの試合でもできるように、課題としてやっていきたい」。芝草監督は敗戦を糧にチームを強化していく考えを示した。聖地の厳しさも、素晴らしさも知る56歳。監督としての初陣で味わった悔しさを晴らすため、夏に必ず甲子園に帰ってくる。

(岡部直樹 / Naoki Okabe)

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