父は元ロッテ投手、デビュー前に聞いた“甲子園の成績” 「今のままでは無理」も追う背中

高川学園・黒木、代打で左飛…父はロッテスカウト・純司氏
父が活躍した舞台に立ち、大きな喜びを感じていた――。第98回選抜高校野球大会は23日、大会第5日が行われ、第2試合で42年ぶり出場の高川学園(山口)は英明(香川)に3-5で敗れた。黒木悠真内野手(3年)は代打で登場も凡退し、流れを変えることはできずに初戦で姿を消した。
出番は1-4で迎えた7回2死一塁。松本祐一郎監督は「冬場に凄く頑張った選手。打撃が良くなってきていたので、流れを変えてほしいと思った」と黒木を代打に送った。フルカウントまで粘ったが、最後は変化球を捉えきれず左飛。「結果は良くなかったんですけど、楽しくできました」と振り返った。
父・純司氏は日本ハム、ロッテで通算170試合に登板し、14勝を挙げた右腕。延岡学園時代は捕手として1学年上の黒木知宏投手(現ロッテ投手コーチ)とバッテリーを組んで、2年時に夏の甲子園に出場した。黒木は試合前日、父に高校時代の甲子園での成績を質問。「ヒットは打ったよ」との答えだったそうで「ずっと追いかけてきた存在なので、自分も1本打ちたかったです」と悔しさをにじませた。
純司氏は現在、ロッテのスカウトを務めている。中国・四国地区を担当しており、黒木は岡山県内で幼少期を過ごした。高校進学を機に山口へ。「設備がいいし、食事が充実している。精神面や技術面が向上できると感じました」と高川学園を選んだ理由を明かした。
ただ入学後は順調だったわけではない。腰痛などに悩まされ、3回戦に進出した昨夏の甲子園はアルプススタンドで応援に専念するしかなかった。昨秋も公式戦出場はなし。腰の状態が良くなり、冬場にバットを振り込んだことで「瞬発力や筋力が向上しました」という。
その成果もあって今大会は背番号13でベンチ入り。代打での1打席だけだったが、バックネット裏で父が見守る中、初めて甲子園のグラウンドでプレーできたのだ。
「いつかは父を超えるプロ野球選手になるのが夢です」
「緊張もなく打席に入れました。自分の中では成長できた部分もあるかなと思います。若干、高ぶりもありましたけど、抑えつつ平常心を保ちながらやりました。アルプスだと見えないものがグラウンドでは見えました。開放感があり、楽しかったです」
もちろん、満足はしていない。「練習して夏は結果を出せる選手になりたい。春は代打でしか出られなかった。今度は背番号1桁をつけてレギュラーとして1試合出て、結果も出せる選手になりたいです」。スローイングに自信がある三塁や一塁の守備にも磨きをかけ、定位置奪取を見据える。
その先には大きな目標がある。「今のままでは無理ですけど、これから時間をかけて練習して、いつかは父を超えるプロ野球選手になるのが夢です。必ず叶えたいなと思っています」。175センチ、83キロの体には無限の可能性が詰まっている。
まずはレギュラーを確保するのが当面の目標。「スイングは強くなっている。この先、もっとスイングの強さを出していきたい」。夏こそ甲子園で安打を打って、父に追いつく。父の背中を追い続けてきた黒木の挑戦は、これからが本番だ。
(尾辻剛 / Go Otsuji)