強豪相手に好投披露の170cm右腕 入学時はショートも…監督が語る優れた“観察眼”

25日の智弁学園戦に登板した神村学園・龍頭汰樹【写真:加治屋友輝】
25日の智弁学園戦に登板した神村学園・龍頭汰樹【写真:加治屋友輝】

1回戦では横浜の最速154キロ右腕との投げ合い制し、6安打完封

 身長170センチの小柄、最速140キロの右腕が、プロ注目投手との投げ合いで存在感を見せた。1回戦では横浜(神奈川)・織田翔希投手(3年)、2回戦でも最速149キロ左腕、智弁学園(奈良)・杉本真滉投手(3年)を向こうに回し、7回まで無失点の快投を続けた。神村学園(鹿児島)・龍頭汰樹(りゅうとう・たいき)投手(3年)のことだ。

 20日の横浜との1回戦では、強打を誇る横浜打線を6安打完封。この日も再三得点圏に走者を背負いながら、粘りに粘り、7回まで智弁学園打線に得点を与えなかった。

 持ち味は精密な制球力だ。昨秋の公式戦では8試合に登板し6完投、54回2/3を投げて、わずか4四死球(1四球・3死球)。今大会でも1回戦は9イニングで無四球・1死球、この日の2回戦も10イニングで1四球しか許さなかった。ストレートの自己最速は140キロも、この日は138キロ止まり。それでもフォーク、スライダーを駆使し、慎重に低めに集めるだけでなく、時おりインハイのスライダーで詰まらせ凡フライに仕留める度胸の良さも見せた。

 小田大介監督は「相手が狙っていないボールを投げれば打たれないですし、相手打者がどういうスイングをしているのかを考え、バットが通過しないところに投げれば打たれないですよね。打者の特徴を見て、強弱をつけ、高低・内外に投げ分けることができるピッチャーだから、バックがしっかり守ってあげれば、失点は計算できるのです」。龍頭が強力打線を抑えられる秘訣の一端を明かした。

 ただ、この日は最終的に、抜群の制球力を誇る龍頭が1球の制球ミスを悔やむ結果になった。「自分の1球の甘さで負けてしまい、悔しいです」と唇を噛んだ。

入学当初は遊撃手、1年秋に転向「大学で経験積みプロで勝負したい」

 1-0とリードして迎えた8回の守り。1死三塁のピンチで、相手の4番・逢坂悠誠内野手(2年)に同点中犠飛を許した。今大会通算17イニング目にして初の失点だった。

 そして同点の延長10回タイブレークで、先頭の角谷哲人捕手(3年)に真ん中高めのフォークを右前打され、無死満塁に追い込まれる。これが、龍頭が悔やむ1球なのだ。「フォークが浮いてしまった。後半は制球力が乱れていました。体力が足りなかったのかなと思います」と吐露。結局1死後、3番の太田蓮外野手(2年)に決勝中犠飛を打ち上げられ、1-2で敗れた。

 それにしても今大会2試合2完投、19イニング1四球・1死球で2失点(自責点1)。防御率0.47は文句のつけようがないだろう。

 高校入学当初は専らショートを守っていた。1年の秋、「中学の頃からコントロールには自信があり、投手で勝負したいと思いました」という本人の希望で転向。センス抜群で、高校野球に指名打者制が初めて導入された今大会では打撃を披露する機会がなかったが、スイッチヒッターでもある。

 1学年先輩で昨年のドラフト会議で阪神から4位指名され入団した早瀬朔投手に続き、「まず大学に行って経験を積み、将来プロで勝負したい気持ちはあります」と言い切る。

「1球で負けることが改めてわかりました。神村学園のエースとして甘さがあったので、夏までにしっかりやっていきたいと思います」と力を込めた龍頭。どんな姿で甲子園に戻ってくるか、楽しみだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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