台湾で監督就任も「3連敗したら辞めなさい」 元阪神野手の苦悩…人気球団を率いる重圧

元阪神の林威助氏が振り返る、台湾「中信兄弟」での監督経験
台湾プロ野球(CPBL)の富邦ガーディアンズで副領隊(副GM)を務めるのは、2003年から2013年に阪神に在籍した林威助氏だ。2014年に母国・台湾へ戻ると中信兄弟でプレー。現役引退後に同球団の2軍監督を経験。2021年に1軍監督に就任すると、チームを年間王者へと導いた。人気球団を率いる重圧は、想像以上に大きかったようだ。
台湾で屈指の人気を誇る中信兄弟。前身の「兄弟エレファンツ」時代から熱狂的なファンを持つ伝統ある球団だけに、注目度は高く、指揮官へ向けられる視線も厳しい。林氏は「体調を崩した時期もあった」と振り返る。
「3連敗したら『辞めなさい』と言われます(笑)。成績が良ければいいのですが、少しでも悪くなるとすぐに言われてしまいます。精神的な安定を保っていないとやっていけないです。シーズン中は試合が続き、常に気を張っているためそこまででもないですが、オフで少しホッとした時に『体調が悪いな』と感じることはありました」
毎日が勝負の世界。その日の試合結果が頭から離れないこともある。それでも次の試合に向けて準備しなければならない。特に難しいのは連敗中だという。「連敗しているときが一番難しい。勝つまで寝ることができませんでした」。ただ、連勝中だからといって気持ちが緩むことはなかった。
「チームの調子がいい時は、安心するというより少しラクにはなります。連勝が止まったときは『惜しかったな』と思うし、必ず反省もします。どうすればチームが良くなるのか、コーチ陣と常に話し合っていました」
現役時代は野手としてプレーしてきたが、監督はチーム全体を見渡す必要がある。投手の特性や捕手の配球、試合の流れなど、すべてを頭に入れて戦う難しさを感じたという。
藤川球児監督にエール「監督に必要なものは持っている」
阪神でともにプレーした藤川球児氏も2025年から阪神の監督に就任。林氏は「もちろん見ています」と、かつてのチームメートの奮闘ぶりに目を細める。
「高卒で入ってきて、最初のイメージは先発投手でした。ただ先発は、1試合で100球くらい投げないといけないので、肩の怪我もあって思うように投げられない時期があったと思います。それで、体を鍛えて、後ろを投げるようになって良くなっていった。順調なプロ野球人生ではなく、苦しんで、リハビリをして、そこから活躍したのを知っているのですごいなと思いますね」
現役時代に結果を残してきた姿は、指揮官としてチームを率いる“今の姿”と重なる部分があるという。昨年は惜しくも日本一を逃したが、これまで数々の壁を乗り越えてきたかつての仲間の手腕に期待を寄せる。
「球児は監督として自分の考えをしっかり持っています。いろんな選手を使いこなせる。監督に必要なものは持っていると思います。次は日本一になってほしいですね」
日台両球界を知る林氏。監督として現場を率いた経験を経て、現在はフロントとしてチームづくりに携わっている。グラウンドとは違う視点から球団を見つめ、新たな立場で野球と向き合う日々が続いている。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)