“プロの目”を意識→無念の骨折 怪物・菰田陽生の悲運…監督が抱く後悔とこれから

専大松戸戦は出場がなかった山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】
専大松戸戦は出場がなかった山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】

プロ注目・菰田陽生を要する山梨学院は準々決勝で敗退

 1人の怪物が甲子園を去った――。第98回選抜高校野球大会は27日、準々決勝が行われ、第2試合で山梨学院(山梨)が専大松戸(千葉)と対戦。1-2で敗れ、4強入りを逃した。初戦の長崎日大戦で左手首を骨折したプロ注目の菰田陽生投手(3年)は、2回戦に続き欠場。無念の“春の甲子園”に主将として「ベスト8で負けてしまった。本当に悔しい」と言葉を絞り出した。

 身長194センチ、体重102キロの恵まれた体格を生かして、昨年は春、夏ともに甲子園に出場した。特に夏はエースとして山梨学院初のベスト4へと牽引。プロ注目の大型選手として一気に全国区となった。

 今大会の初戦・長崎日大戦は「2番・一塁」で出場し、第1打席で甲子園をどよめかせた。初球を捉えて左翼席へ弾丸アーチをき込んだ。規格外のポテンシャルを見せつけて、“3年の春”は始まったが、5回の守備で相手選手と接触して左手首を負傷。ベンチ裏での治療を経て一度はグラウンドに戻ったものの、痛みが引かず6回の守備から途中交代した。

 試合後は患部を固定して病院へ直行。診断結果は左手首の骨折だった。ドクターストップがかかり、2回戦以降はできなくなった。欠場を余儀なくされた。

主将としてチームを支えた山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】
主将としてチームを支えた山梨学院・菰田陽生【写真:加治屋友輝】

吉田洸二監督が一塁手としてこだわった「親心」

「怪我をしたからこそ、チームのために主将として何ができるのか……」

 試合に出られなくなったが、ベンチでは積極的に声がけをし、伝令の役目は自らが担ってマウンドに向かった。「ベンチがどれだけ出ている選手をカバーできるかが本当に一番大事だということを学びました。声掛けや守備位置の指示など、ベンチはもっと広い視野を持つことが大切だと」。試合に出場することができなくても、甲子園は多くのことを教えてくれた。

 吉田洸二監督は「(菰田は)怪我も含めて、色々と我々も学ぶことが多い大会でした。DH(指名打者)制というのもあるのであれば、一塁手というポジションは(怪我のリスクがあり)心配なのかなと。試合を通して実際に肌で感じることができました」と、振り返る。

 今大会は菰田をDHとして使う選択肢も検討していたが、吉田監督は「良い守備力を使いたかったのですが、こうやって怪我をしてしまって……。ただ、守備練習をしなくなると将来の選択肢が狭まってしまうので。練習はさせるけどゲームはDHというのも、今後は考えないといけないですね。彼は打者としての未来もあるかもしれない選手ですから……」。投手として高い素質がある一方で、守れて、打てる主将。骨折の影響で思うようにプレーできなかったが、多くの“角度”からスカウトが評価しやすい起用を吉田監督は思い描いていた。

“不完全燃焼”で終わった菰田の選抜。この悔しさは最後の夏で晴らすしかない。「絶対に夏は甲子園に帰ってきて、この春や去年の借りを返せるように。チーム一丸となって頑張りたいです」。涙は流さず、気丈に甲子園から去った。

(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)

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