独立Lで無双→4年連続指名漏れ 「もう無理」から異国で挑戦、諦めきれぬNPB入りの夢

富邦ガーディアンズ・鈴木駿輔【写真:篠崎有理枝】
富邦ガーディアンズ・鈴木駿輔【写真:篠崎有理枝】

CPBLでプレーする鈴木駿輔投手

 台湾プロ野球(CPBL)でプレーする日本人右腕が、日本球界への扉を目指している。富邦ガーディアンズに所属する鈴木駿輔投手だ。大学中退、独立リーグでの無双、そして台湾挑戦――。遠回りを続けながらも「NPBの舞台に立ちたい」という思いは今も変わらない。

 福島の名門・聖光学院高から青学大へ進学。投打の二刀流として期待されたが、2019年3月、3年になる直前に大学を中退した。「周りの変化に、野球に集中することができなくなってしまいました」。当時2部に低迷していたチームの立て直しを図るため、指揮をとっていた善波厚司監督がコーチになり、河原井正雄監督が復帰。体制が大きく変わる中で決断を下した。NPBを目指すため、大学を離れ、独立リーグに挑戦する道を選んだ。

 最初の舞台はルートインBCリーグの福島レッドホープスだった。2年目の2020年には10勝1敗、防御率1.58の好成績を残し、ドラフト候補として名前が挙がった。その後、信濃グランセローズへ移籍。2022年には北地区で最優秀防御率、最多勝、最多奪三振の投手3冠を獲得。さらに投手部門のシーズンMVPにも選ばれ、圧倒的なシーズンを送った。それでも、ドラフトで名前が呼ばれることはなかった。

「最初は夏前くらいまで9球団くらい来ていたんですけど、やっぱり青学を辞めているので……。どれだけ結果を出し続けても、ドラフトで名前が呼ばれなかった。何年かは『いけるかな』と思っていたんですけど、4年連続で指名漏れしてからは『もう無理だな』って思うようになりました」

 独立リーグでは5年間プレー。主要タイトルをすべて獲得し、リーグを代表する投手となった。それでも、葛藤は消えなかった。「結果を出し続けても、ドラフトにかからない。なかなか僕みたいな選手がいなかったんです。僕より結果を残している選手もいなかった。そこは自負があります」。だが現実は厳しかった。「その僕よりも成績が下の人たちが指名されるというのをずっと見続けてきた。そこが1番きつかったです」。

台湾野球は「想像以上にレベルが高い」

 転機となったのが、台湾プロ野球からのオファーだった。声をかけたのは楽天モンキーズだった。「どこの国でも構わないので、一度プロ野球選手として活躍してみたかったんです」。2024年から楽天モンキーズでプレー。未知の世界だったが、迷いはなかった。

 しかし、待っていたのは想像以上のレベルだった。独立リーグでは武器だったストレートも簡単に打たれ、8月31日の外国人登録期限前に抹消され退団。その後、再びプロの舞台に立つことを目指し、台湾の社会人チームでプレー。2025年5月に富邦ガーディアンズに入団した。

「台湾のイメージが湧かなくて、正直『いけるだろう』と思って入ったんですけど、想像以上にレベルが高くて、舐めていた部分がありました。独立リーグでしかプレーしたことがなかったので、レベルの違いをすごく感じました」

 近年、台湾球界のレベルは上昇している。台湾代表は国際大会で存在感を高め、NPBへ挑戦する選手も増えている。「高いレベルで野球ができているなって思います。日本を代表するピッチャーが打たれたりしていると『このバッター抑えたいな』って思います」。台湾での挑戦を続ける中でも、変わらない夢がある。「一度は日本のドラフトで名前を呼ばれたい。その夢があるから頑張れています」。

 大学中退、独立リーグ、そして台湾へ。遠回りの野球人生だった。それでも、NPBへの思いは消えたことがない。台湾から日本へ。夢の舞台に立つその日を信じて、今日もマウンドに上がる。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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