2300グラムの未熟児から192cmの怪物へ 強豪の誘いも“拒否”…大阪桐蔭への抱き続けた憧れ

大阪桐蔭の大型左腕・川本晴大の原点…生まれは2300グラムの未熟児
第98回選抜高校野球大会は29日、準決勝が行われ、大阪桐蔭(大阪)が専大松戸(千葉)に3-2で勝利し、決勝進出を決めた。2点リードの8回から登板したのは、今大会で注目を集める身長192センチ、体重95キロの大型左腕・川本晴大投手(2年)だ。この日は制球を乱し、死球を与える場面もあったが、2回を1失点でしのいだ。「緊張でボールが浮いてしまった。でも、要所で三振が取れたのは収穫。次は修正したい」と振り返った。
1回戦・熊本工戦では14奪三振で完封勝利。鮮烈な甲子園デビューを飾り、一躍注目を集めた。目を引く192センチの体格。しかし産声は、わずか2300グラム。今の姿からは想像もつかないほど、小さく、細いスタートだった。
両親は「将来、大きくなるように」と願いを込め、幼少期から食でサポート。食卓には寄せ鍋や豆乳鍋など、野菜とタンパク質を効率よく摂取できるメニューが並んだ。両親の愛情をその体に蓄え続けた川本は、中学入学時には体重90キロに到達。かつての未熟児は、いつしか誰もが見上げる体躯へと成長を遂げた。
野球は父の影響で小学1年生から始め、3年生で本格的に投手へ挑戦した。NPBジュニアチームの埼玉西武ライオンズジュニアでも活躍したエリートだが、スタンドで見守る父・真大さんいわく、素顔は「おちゃらけていて、みんなにイジられるキャラクター」。そんな愛されキャラの少年が、名門・大阪桐蔭の門を叩くきっかけとなったのは、あまりにも純粋な問いかけだった。
名将・西谷浩一監督との驚きの出会い
才能の片鱗を見せていた中学2年生の秋、視察に訪れた大阪桐蔭・西谷浩一監督と初めて対面した。緊張と驚きのあまり、思わず口をついた。
「本物ですか……?」
テレビで見ていた名将は、当時の川本にとって雲の上の存在だった。根尾昂投手(中日)や藤原恭大外野手(ロッテ)を擁して春夏連覇を達成した2018年の大阪桐蔭は、彼にとって「聖域」。関東の強豪校・横浜や浦和学院からの誘いもありながら、川本の心は西谷監督が率いる憧れのチームへと決まっていた。
西谷監督とともにチームを支える有友茂史部長も、その才能を高く評価する。「ヒヤヒヤする場面もありますが、化け物じゃないかなと思うところもありますね。簡単にいうと『持っている子』。決勝戦も勝ちにこだわって、のびのび投げて欲しい」。
憧れた2018年の春夏連覇。その舞台に、いま自らが立っている。「優勝まであと1勝。どんな形でもチームに貢献したい」。
2300グラムから始まった野球人生。30日の決勝戦、16歳の怪物が大阪桐蔭の新たな歴史を刻みにいく。
(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)