“言えなかった”「投げます」…SNSで話題のイケメン右腕 中京大中京で背負う責任、痛感した課題

智弁学園戦に先発した中京大中京・安藤歩叶【写真:加治屋友輝】
智弁学園戦に先発した中京大中京・安藤歩叶【写真:加治屋友輝】

今大会全4試合に先発し防御率1.85ネット上で話題になっていた

“超イケメン頭脳派右腕”は快投を演じ続けたまま、甲子園を去った。第98回選抜高校野球大会は29日、中京大中京(愛知)のエース・安藤歩叶(あると)投手(3年)が智弁学園(奈良)との準決勝に先発。5回3安打無失点に抑え、1-0とリードした状況でマウンドを降りたが、チームは1-2で逆転負けを喫した。歴代最多の春夏通算11度目の全国制覇を成し遂げた2009年の夏以来、17年ぶりの決勝進出を目前で逃した。

 端正な顔立ちとは裏腹に、闘志を前面に押し出して力投した。1点リードで迎えた3回の守備。2死二塁のピンチを背負った安藤は、フルカウントから外角低めのフォークで相手打者のバットに空を切らせ、雄叫びを上げながら体をくるりと一回転させると、右拳を握りしめてガッツポーズをつくった。

「確かに、学校でもイケメンで通っています。私たちの学年は13クラスありますが、1年生の頃、休み時間に他のクラスの女子が、安藤の顔を見るために集まっていました」。野球部女子マネジャーの加藤凛さん(3年)はこう証言する。

 今大会の安藤は、全4試合に先発し計24回1/3、6失点(自責点5)。防御率1.85の快投で、タレント張りのイケメンも全国の高校野球ファンの知るところとなり、ネット上で話題になった。

 マネジャーの加藤さんは「最初はおとなしい人という印象でしたが、仲良くなるにつれて、気さくに話しかけてくれるようになりました」と続け、「日焼け対策やヘアケアは、他の選手もやっていますが、一番気を使っているのが安藤だと思います。日焼け止めは塗り直したりしています」と付け加えた。

 抜きん出ているのは、野球の技術と見た目だけではない。中京大中京の野球部は、スポーツクラスに所属する生徒が約7割を占めているが、安藤は津末駿晄捕手(3年)らとともに少数派の進学クラス。前畑宗慶野球部長は「われわれは最初、スポーツクラスでの入学を勧めたのですが、オール4の評定が求められる進学クラスでの入学を、安藤自身が希望しました」と明かす。

丸刈りに統一されていた髪形が2024年に自由化

 中京大中京の野球部は、高橋源一郎監督が選手たちと話し合いを重ねた上で、丸刈りに統一されていた髪形を2024年から自由化した。ただし、安藤は「僕が丸刈りでなくていいと聞いたのは、入学が決まった後でした」。したがって中京大中京を選んだ理由は髪形の自由化とは関係なく、「もし野球がだめだったとしても、勉強もできる選択肢があるのがいいと思いました」という。

 この日、5回まで69球で無失点に抑えた安藤だが、高橋監督から「まだ(6回以降も)行けるか?」と聞かれると、「続投したい気持ちもありましたが、捕手の津末とも話し合い、5回にストレートが浮き始め、智弁の打線にもタイミングが合ってきていたので、今大会中継ぎで抑えている太田(匠哉投手=3年)に託そうと思いました」。

 安藤の後を受けた左腕・太田は、代わり端の6回、先頭打者に死球を与え、自身の送球エラーも重なって同点に追いつかれる。そして8回には、相手の4番に右越えの決勝二塁打を浴びた。

 それでも安藤は「チームを勝ちに導けなかったことが悔しいです。スタミナが足りなかったです。『最後まで投げます』と言えるくらいの気持ちがないとダメだとも思いました」と責任を背負う。

「今大会を通じて、球数が80球くらいになると球が浮き、弱くなり、スライダーも抜けていました。もっとタフさが要ると感じたので、改善していきたいです」と反省。「夏にここへ戻ってきて、優勝できるようにしたいです」と力を込めた。

 夏には、爽やかなイケメンぶりはそのままに、力強さを増して聖地へ帰ってくるはずだ。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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