初回の乱調で見えた“心の課題” 中日・中西聖輝を救った木下のリードとプロの自覚

1日の巨人戦でプロ初登板を果たした中日・中西聖輝【写真:産経新聞社】
1日の巨人戦でプロ初登板を果たした中日・中西聖輝【写真:産経新聞社】

期待と緊張が交錯した4月1日のマウンド

■巨人 6ー5 中日(1日・バンテリンドーム)

 中日の中西聖輝投手は1日、バンテリンドームで迎えた巨人戦にプロ初先発し、5回1/3を投げて4失点で負け投手となった。本拠地の大歓声に包まれた華々しい幕開けを期待されたが、待っていたのは自分自身のコントロールを失いかけたプロの厳しい洗礼だった。

 立ち上がりは明らかに本来の姿ではなかった。初回、いきなり3連打を浴びて先制を許すと、無死満塁から二塁打を浴びるなど一挙4失点。「変に落ち着こう、落ち着こうと過剰に思いすぎてしまった。キャッチャーの意図も汲み取れず、自分の気持ちもはっきりしないまま、曖昧な状態で投げているボールが多かった」と、苦渋の表情で振り返った。

 先発マスクをかぶった木下拓哉捕手も、マスク越しに異変を察知した。「どうなるかと思った」。数々の修羅場をくぐり抜けてきたベテラン捕手だからこそ抱いた危惧だった。「オープン戦とは違った力みを感じた。ボールが欲しいところでストライクが入り、逆にストライクが欲しいところで外れる。そういう逆転した現象が多かった」。中西の「何とか抑える」という焦りが、繊細な感覚を狂わせていた。

2回以降に見せた驚異の修正力と「プロの自覚」

 それでも中西は驚異的な粘りを見せる。2回、再びマウンドへ戻った22歳は別人のような投球を披露した。5回まで無安打に封じ込め、木下も短時間での変貌に舌を巻いた。「ああやってゲームをまとめられるのは、やっぱりすごい能力があるなと感じた」。相棒として最大級の賛辞を贈った。

 しかし、勝利への道筋は容易ではなかった。中西は6回、1死を奪ったところで降板し、6安打2四死球4失点で初勝利を手にすることはできなかった。「先発があれだけ初回に失点してしまうと、試合の流れもいいものにはならない。5点取ってもらって負けるのは、先発投手の責任」と、責任を一身に背負った。その言葉に、もはや「初登板のルーキー」という甘えは一切なかった。

「ルーキーらしくと言うよりは、プロ野球選手らしく、チームをしっかりと勝たせられるような投球をしたい」。ほろ苦いデビュー戦となったが、この日味わった屈辱と、2回以降に掴んだ確かな手応えは、中西にとって何物にも代えがたい財産となったはずだ。

 特別な一日は幕を閉じたが、力強くプロとしての第一歩を刻んだ。「どうなるかと思った」という木下の言葉が、いつか「さすがだと思った」に変わる日まで。ドラ1右腕の逆襲は、ここから始まる。

(木村竜也 / Tatsuya Kimura)

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