投手の癖を丸裸に…想像を絶する仕事量 日本人初のMLBコーチ植松泰良が担う「クオリティ・コントロール」とは?【独自インタ・前編】
山本由伸(右)と談笑するジャイアンツの植松泰良クオリティ・コントロールコーチ【写真:黒澤崇】ジャイアンツの植松泰良クオリティ・コントロールコーチの仕事内容は?―独自インタビュー前編―
2010年代に3度のワールドシリーズ制覇を飾ったジャイアンツのユニホームをまとい、最前線で戦う日本人がいる。植松泰良(うえまつ・たいら)クオリティ・コントロールコーチだ。相手の弱点を暴き、自軍を勝利へ導く「軍師」の役割を担う42歳の日常は、華やかなオラクルパークの光とは対照的に、緻密で過酷な分析作業の連続だった。
そもそもクオリティ・コントロールコーチとは、どんなコーチなのか? 2022年から日本人初のMLBフルタイムコーチとなった植松コーチの任務は、現代野球の勝敗を左右する情報の精査にある。主な仕事は、自チームの投手に球種の癖があれば修正を促し、同時に対戦相手の投手を徹底的に解剖して攻略の糸口を探ることだ。
「毎日映像を見て、それをピッチャーやピッチングコーチに伝えています」
モニター越しに相手投手のわずかな動作の変化を追うのが日課だ。
特に近年、MLBではベースコーチが関わって球種を見破ろうとする動きが激化しているという。相手チームの対策を講じると同時に、自軍チームには「この動きをしたら牽制はない」「この動きなら、もう走って大丈夫だ」といった判断材料を具体的に提示する。全投手の動きを分析して試合前のミーティングで共有する。
さらに、バント指導も植松コーチの大切な役割だ。キャンプ中から継続して、ナイトゲームの日には、ホームでもアウェイでも打撃練習の前に選手を指導する。メジャーというパワー野球の象徴のような舞台であっても、こうした細かい技術の積み重ねが、最終的にチームを救う。選手が本番でバントを成功させた瞬間に味わう喜びは、「本当に嬉しいです」。何物にも代えがたいものがある。
自宅で過ごすのは1〜2時間程度…過酷な24時間スケジュールと執念
メジャーコーチの仕事量は、周囲の想像を絶する。
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(小谷真弥 / Masaya Kotani)