早大153キロ右腕が覚醒、元プロの指揮官“荒療治”で一流の道 140球でリーグ戦初完投の背景

早大の3年生・高橋煌稀、リーグ戦初完投で今季初勝利
ようやく巡ってきた今春初先発で、153キロ右腕が本領発揮だ。東京六大学野球春季リーグ戦は26日、神宮球場で第3週の2回戦2試合が行われ、第1試合は早大が法大に2-1で勝利。1勝1敗のタイに持ち込んだ。3年生右腕の高橋煌稀投手が10奪三振の力投でリーグ戦初完投。開幕から3試合連続2桁安打を放っていた強力打線を1点に封じ込めた。
「きょうは大事な一戦。チームが勝つには自分次第だったので、何としても自分が投げ切って勝ちたいなと試合前から思っていました。高低を使って丁寧に投げようという意識でマウンドに上がって、その計画通り、しっかり狙ったコースに投げ切れたので良かったと思います」
仙台育英時代は3度甲子園に出場。2年時には強力投手陣の一角を担い、2022年夏の甲子園で優勝投手となった。背番号1で臨んだ3年夏の甲子園は準優勝。高校時代から最速150キロを計測し、プロ志望届を出せばドラフト上位指名が確実視された逸材だ。
進学した早大では1年春からリーグ戦に登板。その後は怪我もあって目立った活躍はできていなかったが、昨秋は5試合に登板して3勝1敗、リーグ3位の防御率1.86をマークして飛躍の足がかりをつかんだ。
ただ今春はオープン戦で調子が上がらず、リーグ戦初戦となった18日の東大戦は出番なし。19日の同カードは救援登板だった。小宮山悟監督は「奮起を促すために開幕1戦目は外した」と荒療治を施したと説明。「先発を一度飛ばして、本人も期するところがあったでしょう」と負ければ勝ち点を失う大事な一戦で先発に起用した。
気合十分の高橋煌は、強打の法大相手に序盤は最速151キロを計測した直球中心に真っ向勝負。初回2死二塁では4番・片山悠のバットをへし折りニゴロに仕留め、4回は5番・井上和のバットを折って遊飛に封じるなど、クリーンアップに対し13打数無安打7三振と完璧に抑えた。
楽天ドラ2の先輩・伊藤樹の後継エースへ
中盤以降はカットボールやスプリットなど変化球を効果的に織り交ぜて翻弄。2-0の7回に1点を返されて1点差に迫られたものの慌てない。元オリックス内野手の敵将、大島公一監督を「序盤は直球中心、後半は変化球中心で2人の高橋君を見せられた感じ。高橋君が相当良かったよね。3、4、5番には急に球速が上がるような投球に見えました」とうならせた。
来秋ドラフトの目玉になり得る右腕に、元ロッテ投手の小宮山監督の期待も大きい。「よく1人で投げ切った。最後はもう代える気はなかったです」と初完投を称え「(伊藤)樹の後継ということでいいんじゃないでしょうかね。本人も上級生になって目の色を変えてやっていましたから」とドラフト2位で楽天に入団した右腕の後継エースに指名した。
伊藤樹の背中を追ってきた高橋煌も自覚は十分。先輩右腕と自身を比較し「真っすぐは勝っています。質も、スピードも」とトータルでも上回る存在になることを意識する。ドラ2を超えるにはドラ1しかない。それだけの魅力が高橋煌にはある。
今春の目標に最優秀防御率を掲げ「点を取られなかったらチームも勝てる。最少失点に抑えることがチームの勝利につながるので、個人はそこを目標にやっています」と前を向いた。昨秋はリーグ戦の連覇が3で止まり2位。「チームの勝利が一番」と2季ぶりの優勝が最大の目標となる。スケールアップを続ける右腕は、チームの中心となってけん引していく。
(尾辻剛 / Go Otsuji)