明大が背負う「無用なプレッシャー」 プロ注目選手に影響も…前監督が抱いていた“願い”

プロ注目の明大・光弘が立大戦で活躍、勝ち越しの3点三塁打
今秋ドラフト候補として名前があがる、明大の光弘帆高(みつひろ・ほたか)内野手(4年)が3日、東京六大学野球春季リーグの立大2回戦に「8番・遊撃」で先発出場。同点で迎えた6回、1死満塁で走者一掃の決勝3点三塁打を放つ活躍を見せた。16年連続ドラフト指名の最長記録を更新し続けている明大の有望株。今年も記録更新が期待されるが、“特殊なプレッシャー”も潜んでいる。
光弘の打率は、2日終了時点で.059(17打数1安打)。リーグ41位タイで規定打席以上の選手のなかでワースト数値だった。スコアボードに表示される自分の打率に「これまでは、高くて力むことはありましたが、さすがに低すぎて、これより下がることはないだろうという気持ちでした」と苦笑いを浮かべた。
2-2の同点で迎えた満塁の絶好機に、立大の2番手、変則左腕の林亮玖投手(4年)と対戦。左打ちの光弘は、初球のワンバウンドのカーブに思わずバットが出てストライクを取られたが、2球目のストレートを一閃。打球は前進守備の中堅手の頭上を悠々と越えていった。「『抜けろ』という思いでしたが、センターがだいぶ前に守っていたので、ちょっと見て確信し、三塁を狙おうと思い走りました」と唇を綻ばせた。
明大は昨秋のドラフトで、小島大河捕手が西武1位、大川慈英投手が日本ハム1位、毛利海大投手がロッテ2位で指名され、16年連続でドラフト指名選手を輩出。今年の4年生では、光弘のほか、左打ちのスラッガーの榊原七斗外野手、50メートル走で“日本記録級”の5秒69をマークした韋駄天・岡田啓吾内野手、強打を誇り主将も務める福原聖矢捕手らが、プロから熱い視線を注がれている。
榊原も、この試合まで打率.182(22打数4安打)と振るわなかったが、8回にバックスクリーンへ今季1号(通算10号)ソロを放つなど、5打数3安打2打点の活躍。戸塚俊美監督は「光弘も榊原も、(不振の原因は)力みだと思います。打ちたい、打ちたいという気持ちはわかります。力を抜くことを覚えるのは大変だと思います」と不振の理由について語った。
“強打の捕手”福原は、3日時点でリーグ2位の打率.385と好調。岡田も.280とまずまずだったが、2日の立大1回戦で左手首を捻挫。今後の状態が心配されるところではある。
記録ストップの可能性がささやかれた年も…
16年連続でドラフト指名を受けている明大だが、記録ストップが噂された年もあった。2021年と2022年は“危機的状況”とささやかれていた。結果的に、2021年は丸山和郁外野手がヤクルト2位、2022年は村松開人内野手が中日2位で指名された。
この記録について、前監督の田中武宏氏は「必ずしもプロ入りが人生の正解とは限らないですし、選手たちが『自分たちの代で記録を途切れさせるわけにはいかない』と無用なプレッシャーを受けるので、正直言って、早く途切れてほしいと思うこともあります」と述懐したこともあった。
選手にとっても指導者にとっても、記録継続がプレッシャーにつながっているのは間違いないだろう。明大でなくとも、プロ志望の大学4年生に、スカウトの目を気にするなというのは酷な話だ。ラストシーズンを迎えた4年生が悔いのない1年を過ごしてくれることを切に願う。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)