東京六大学審判が“29”で込めた願い「回復を祈る」 頭部負傷のNPB川上審判へ…4万人の願い

NPB川上審判の胸番号「29」を付けて試合に臨む審判員【写真:加治屋友輝】
NPB川上審判の胸番号「29」を付けて試合に臨む審判員【写真:加治屋友輝】

球審はヘルメットの左側頭部、塁審は帽子のひさしの裏に刻んだ「29」

 東京六大学連盟の審判員が9日、バットが側頭部に直撃し意識不明の状態が続いているNPBの川上拓斗審判員の回復を祈り、川上審判員の袖番号「29」を付けて試合に臨んだ。試合後、一塁塁審を務めた山口智久審判員は「早い回復を祈りたいというのが、六大学のメンバーの思いです」と、29に込めた願いを明かした。

 東京六大学野球春季リーグ第5週1日目、第1試合の立大-早大1回戦。球審はヘルメットの左側頭部、塁審は帽子のひさしの裏に、「29」の数字をはりつけて出場。手書きで数字を記している審判員の姿も見られた。

 山口審判員は「審判員はグラウンドで、NPBもアマチュアも苦しんだり、辛い思いをしていて、それを共有したいといつも感じていました。僕らは先輩に『ジャッジには魂を込めろ』と言われるのですが、この29という番号に魂を込めて、早い回復を祈りたいというのが、六大学のメンバーの思いです」と語り、川上審判員の回復を願った。

 NPBの川上審判員は4月16日、神宮球場で行われたヤクルト-DeNA戦の球審を務め、打者がスイングした際に手から離れたバットが側頭部を直撃。すぐに搬送され緊急手術が行われたが、いまだに意識が戻らず、治療が続いているという。

「29」をつけてのジャッジは、前夜、東京六大学野球連盟に相談し了承を受けた。山口審判員は「全国のアマチュアの審判員約4万人が、ぜひ川上さんのために心を1つにして、とにかく回復されるように、後押しする力になればと思います」と言及。約4万人の思いを乗せた試みだった。

 NPBとアマチュアの審判員は、合同講習などを通して交流があり、山口審判員も川上審判員と面識があった。「とても優秀で熱心な人です。意識戻られていないとお聞きし、何かできることがないかと思い、連盟の事務局に相談した」と話すと、「プロもアマも審判は、立場は違うかもしれませんが、役割は同じなので、今後も仲間意識を持ってやっていきたいと思います」と力強い言葉で締め括った。

 東京六大学連盟では川上審判員の事故を受けて、4月25日の試合から球審がヘルメットを着用。またこの試合は、NPBの森健次郎審判長、笠原昌春副審判長、平林岳シニアスーパーバイザーも観戦し、「29」をつけた審判員のジャッジを見届けた。

【NPBと六大学が異例の対応】川上審判の回復を願い、審判団が思いを込めた「29」が記されたヘルメット

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY