TJ手術で前年登板ゼロ→復帰即韓国へ NPB未経験も…得た自信、154キロ右腕の挑戦

起亜タイガースへ移籍した白川恵翔【写真:喜岡桜】
起亜タイガースへ移籍した白川恵翔【写真:喜岡桜】

四国IL・徳島インディゴソックスの白川恵翔、韓国プロ野球・起亜タイガースへ移籍

 ヒーローは遅れてやってくるものだ。徳島インディゴソックスは28日、最速154キロのエース右腕・白川恵翔が、韓国プロ野球(KBO)の起亜タイガースと「アジア枠」(アジアクォーター制度)で契約を交わし、移籍することを発表した。2024年にもKBOの2球団でプレーしたが、同年12月にトミー・ジョン手術を受け、徳島で過ごした2025年は公式戦登板数「0」。だが順調な回復を見せた白川は昨オフに「もしKBOに戻ることがあれば」と野望を語っていた。

 1980年代に黄金期を築いた徳島県の名門・池田にいた高校時代には、当時179センチ85キロの恰幅のいい体や雰囲気が元エース兼4番の水野雄仁氏(巨人編成本部長兼スカウト・国際担当)に重ねられ、“阿波の金太郎2世”と称された。「1年でも早くドラフトで指名されるように」と、高校卒業後は地元の地域リーグ(旧独立リーグ)球団の門を叩いた。だが、これまで1度もNPBからは指名されていない。

 そんな白川は、3度目の開幕戦の先発を務めた2024年が転機になった。韓国のSSGランダースから、同年にKBOで新設された「負傷代替外国人選手」としての獲得オファーが届いたのだ。「迷わなかったですね。KBOも韓国のトップリーグですから。今(地域リーグ)より上に行くという意味で、迷ったり、断ったりすることはないですよ」と明かす。

 渡韓してすぐの6月1日、キウム・ヒーローズ戦で先発として初登板し、NPBに在籍したことがない日本人として初の勝利投手になった。SSGランダースとの契約は「負傷代替外国人選手」制度に則り、負傷選手が回復したため7月に終了した。だが、すぐに斗山ベアーズに「負傷代替外国人選手」として入団。白川の韓国挑戦は、順風満帆に見えた。しかし、8月23日に右肘の痛みにより降板。9月に契約が終了し、古巣へ戻った。

2024年オフにTJ手術、2025年は登板なし NPB未経験も先駆者として得た自信

 野球の神様は、なぜこうも試練を与えたがるのか。右肘の診断結果は内側側副靱帯の損傷だった。12月にトミー・ジョン手術を受け、翌2025年は徳島インディゴソックスに練習生として籍を置き、リハビリに専念。公式戦登板数は「0」。白川は「術後1年は無理って分かっていたので、焦る気持ちはなかったです」と冷静だった。エースの風格すら漂っていた。

 復帰の場となった同年12月のジャパンウィンターリーグ(沖縄県)で151キロを計測すると、今季は4度目の開幕投手を務め、これまで5試合(25イニング)に登板し、1勝1敗、34奪三振、防御率1.08をマーク。大ケガからの回復を数字で証明してみせた。

 KBOで2026年に新設された「アジア」枠は、2024年に白川が2球団で通算12試合に登板し、46奪三振した“奮闘”があったから、検討が進んだと言われている。昨年10月、白川は「アジア枠ができたように、何かを残すことができるんじゃないかと思っていて」と話し、こう言葉を続けた。「KBOには日本人が達成していないことがまだたくさんあるじゃないですか。もしまた韓国に行けるなら“日本人初”の記録をいくつも残したいですね」。

 KBOでは3球団を渡り歩く。白川は古巣のホームページを通して「韓国KBOでも『圧倒する』ことを目標に、独立リーグのレベルの高さを見せつけられるように頑張りたいと思います」と決意を語った。NPBへ羽ばたくことだけが活路ではない。また、海外リーグに在籍する日本人選手がNPBドラフト会議で指名されることもある。今年25歳の右腕は、古巣や、地域リーガーのプライドを胸に、隣国のトップリーグへ2年ぶりに翔びたった。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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