身長167cm…米大学から“門前払い” 日本で見つけた居場所、早大2年生の秘める資質

30日の慶大1回戦で先制ソロを放った早大・霜結大【写真:小林靖】
30日の慶大1回戦で先制ソロを放った早大・霜結大【写真:小林靖】

小宮山監督「バッティングに関しては能力的に長けている」

 東京六大学野球伝統の“早慶戦”で、変わり種の新鋭が衝撃的なデビューを飾った。米国生まれの早大・霜結大(しも・ゆうた)外野手(2年)だ。これまでリーグ戦出場は皆無だったが、30日の慶大1回戦で「1番・左翼」でスタメンに抜擢され、いきなり初回先頭で左翼席へ先制ソロを放った。

「せっかく監督さんがチャンスをくれた。日本で初めての公式戦が早慶戦。やるしかない、という気持ちでした。思い切って振ったら飛んだ感じです」

 初回、右打席に立った霜はカウント1-1から、慶大のエース左腕・渡辺和大投手(4年)の145キロのストレートを一閃。打球は左翼席に飛び込み、何度も両手でガッツポーズをつくりながら、速足でダイヤモンドを回った。

 起用した小宮山悟監督も、珍しくベンチで声を上げながらガッツポーズをみせた。「バッティングに関しては、能力的に長けている。守りがバタバタしているので、起用するかどうか迷いましたが、あまりにも打線が機能していなかったので、守備に目をつぶっての起用です」と先発起用の理由を説明した。

「できればヒット、外野の間を抜けてツーベースくらいの欲はありましたが、フェンスを越えるとは思っていませんでした」と語った通り、NPBで通算117勝を挙げ、MLBでも25試合に登板した指揮官をもってしても、想定外の1発だったわけだ。

 霜の両親は日本出身だが、2人とも米国の大学に留学し、米国で就職、結婚したという。首都ワシントンDCから車で約15分の距離にあるバージニア州マクレーンで生まれ育ち、米国人として教育を受けてきた。「僕は漢字をあまり読めませんし、正直言って日本語は得意ではありません。両親の母国語は日本語ですが、家庭では僕が英語でしゃべって、日本語で返ってくる感じです」と明かす。

身長167センチ、体重75キロ「米国の大学野球部にはなかなか入れない」

 身長167センチ、体重75キロと小柄な霜を、日本へ導いたのは野球だった。「ずっと野球をやってきましたが、アメリカはみんな体が大きくて、180センチはないと、大学の野球部になかなか入れません。それなら日本へ行って自分の技術を試してみたいと考えました。大学卒業後も野球を続けたいと思っています」と語る。早大のAO入試を受験し、ほとんどの授業が英語で行われる国際教養学部に入学した。

 それでも、食事面では和食にも対応。「家庭で両親がおいしい日本料理をつくってくれていましたから。好物は、とんかつです」と満面に笑みを浮かべる。

 結局、霜は4打数1安打1打点に終わり、試合にも1-8で敗れたが、小宮山監督が「体は小柄ですが、アメリカの190センチ、100キロの選手に負けないくらいのスイングをしています。打つことに関しては今後も期待できると思います」と太鼓判を押す。こういう選手がレギュラーになり、NPB入りしたりすれば……実に面白い。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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