打率.388も「最低ライン」 大阪桐蔭→大学2年で首位打者…早大逸材の描くNPBの道

大阪桐蔭高時代の同級生である法大・境とデッドヒート展開
東京六大学野球春季リーグは1日、慶大の5季ぶり41回目の優勝で幕を閉じた。早大の徳丸快晴外野手(2年)が打率.388をマークし、“逆転”で首位打者のタイトルを獲得。大阪桐蔭高出身の左投左打のスラッガーは、2年後のドラフトを視野に、順調に成長のステップを踏んでいる。
高校時代の同級生とのデッドヒートを制した。5月30日の慶大1回戦にフル出場した徳丸は4打数1安打に終わり、今季打率を.375に下げた。この時点では、リーグトップの.383で既にチームの全日程を終えていた法大・境亮陽外野手(2年)に8厘差をつけられていた。徳丸にとって境は大阪桐蔭高時代の同級生で、一昨年の夏の甲子園(2回戦敗退)では、境が「3番・右翼」、徳丸が「4番・左翼」を務めた間柄だった。
ここから徳丸の“首位打者獲得大作戦”が始まる。翌5月31日の慶大2回戦では5打数3安打の固め打ち。打率.400で境を抜き去り、リーグトップに躍り出た。
そして、最後の3回戦のスタメンに「5番・右翼」で名を連ねる。徳丸のタイトル獲得に“全面協力”したのが、小宮山悟監督だった。徳丸は「監督さんが試合前の時点で、ベンチ内のホワイトボードに、2-0(2打数無安打)なら×(境の打率を下回る)、5-2なら〇(首位打者獲得)という風に、全てのパターンを書いて下さっていました。お陰で自分も頭に入っていました」と明かす。
小宮山監督は現役時代、1989年のドラフト1位で早大からロッテに入団し、NPBで通算19年、メジャーリーグでも1年間プレーした経験がある。プロではタイトルの有無が年俸交渉などにも影響を与えることから、首脳陣やチームメートがタイトル獲得をアシストする傾向が強い。だからなおさら、徳丸の首位打者獲得へ親身になったのかもしれない。
2年後のドラフト視野「この春の打率を最低ラインとしてやっていく」
3回戦では概ね、4打数1安打以上で首位打者を獲得できる計算だった。4打数1安打なら打率.388で境の.383を上回り、仮に5打数1安打なら.380で下回る。
問題は、第1打席で凡退したケースだった。1打数無安打で終われば.391で首位打者獲得だが、第2打席もヒットを打てずに2打数無安打だと.3830となり、小数点以下第4位の争いでわずか“3毛差”ながら下回ってしまう。
小宮山監督は第1打席で凡退した場合には、ベンチへ下げることも検討していた。「首位打者を取ると、人生が変わる可能性もあります。ですから、(第1打席で凡退した場合は)本人の意思を確認し『おまえが決めろ』と言うつもりでした」と明かす。
しかし、徳丸自身は「交代することは全然頭にありませんでした。もし1打席目に凡退しても、その後の打席で打てばいいので、自分としては代わるという選択肢はありませんでした」と言い切る。
結局、2回先頭で第1打席に立った徳丸は、慶大先発のエース左腕・渡辺和大投手(4年)の初球のストレートを中前へ弾き返しクリーンヒット。この時点でほぼタイトル獲得を確定し、その後の3打席を凡退したものの、逃げ切ったのだった。小宮山監督は「あの状況で“勝負の第1打席”にヒットを打ったので、大したものだなと思って見ていました」と目を細めた。
最後まで争った境からは、実は3回戦の試合前の時点で、コミュニケーションアプリを通じ「負けました」というメッセージが届いていたという。徳丸はそんな境について、「あいつは足が速くて内野安打が多いので、ずるいです」とぼやいてみせる。
徳丸と境はまだ2年生だが、ともに2年後のドラフトを視野に入れている。徳丸は「大学を経てプロに行きたいと、高校時代から思っていました。これから打撃だけでなく、守備も走塁もレベルを上げていきたいです」とうなずく。そして「この春の打率を最低ラインとして、やっていかなければならないと思っています」と自分に高いハードルを課した。
高校時代からの親友で、同時に東京六大学で天皇杯や個人タイトルを争う徳丸と境。しばらくはこの2人から目を離せそうにない。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)