巨人スカウト注目…“MLB級”の剛球 初戦敗退も、逸材22歳が残した衝撃「なかなかいない」

函館大戦に登板した上武大・木口永翔【写真:小林靖】
函館大戦に登板した上武大・木口永翔【写真:小林靖】

全日本大学野球選手権初戦で6回2失点も、初回先頭打者本塁打被弾響き敗退

 プロ注目の最速151キロ右腕が、苦杯をなめた。第75回全日本大学野球選手権記念大会の第2日が9日に行われ、2013年大会優勝の上武大が函館大に1-2で惜敗した。エースの木口永翔(きぐち・えいと)投手はキレのあるストレートを武器に6回9奪三振2失点と好投したが、初回先頭打者に1発を浴びたのが響き、初戦敗退となった。

「初回は慎重にいきすぎた部分がありました。サポートしてくれるメンバー、メンバー以外の選手に申し訳ない。控えの選手を喜ばせるには自分たちが勝つしかないと思うので、それができなかったことは本当に悔しいです」。木口は試合後、少し目を潤ませながら言葉を絞り出していた。

 木口のストレートの回転数は、“メジャーリーグ級”の2700を超える。数多くのプロ野球選手を輩出してきた谷口英規監督も「ジャイロ系の回転ですが、2700を超える投手はなかなかいません」と目を細める素材だ。

 しかし、この日は立ち上がりの制球がままならなかった。初回先頭打者にフルカウントから、真ん中に入った148キロのストレートを捉えられ、左中間席へ先制ソロを被弾。さらに四球と安打で無死一、三塁とされ、遊ゴロ併殺の間に2点目を献上した。

 その後は必死に粘った。4回1死一、二塁のピンチでは、カウント2-2から146キロのストレートを相手打者の内角低めいっぱいに決め、見逃し三振。次打者にも4球連続でストレートをインコースへ投じ、見送り三振に仕留めると、思わず雄叫びを上げた。

 最終イニングとなった6回もしかり。二塁打と2死球で1死満塁の窮地に追い込まれたが、ストレート4連投で空振り三振。次打者にはストレートを狙われたが、一直に抑えしのいだ。スライダー、カーブ、カットボール、ツーシームなども投げられるが、ここぞの場面では自信のあるストレートにこだわるのが木口のスタイル。谷口監督も「自分でもプライドを持って真っすぐを投げている。逃げずに勝負できたことは収穫だと思います」と評価した。

谷口監督が指摘した課題「技術が追いついていない」

 底知れない潜在能力を秘めている半面、課題が多いのも事実だ。谷口監督もその点については「魅力はあるけれど、“勝てる投手”にはなり切れていない。先々の伸びしろはあるけれど、現時点では(才能に)技術が追いついていない」と手厳しい。

 さらに指揮官は「どちらかというとコミュニケーションを取るのが苦手で、おとなしい。今日も味方の守備陣に声をかけるようなところは一切なかった。人として成長してほしいと思います。気持ちは強い子なので、そこをもっと前面に出して、影響力のある人材になってほしいです」と注文をつけた。

 もちろん、それは期待の大きさの表れでもある。ネット裏で右腕を見守った巨人・榑松伸介スカウトディレクターは「伸び上がるようなストレートが一番の魅力で、パワーも感じました。さらにスライダー、カーブを交えて、両サイドを広く使っていました」と評価。「あとは落ちる球の精度が高まれば、もっと良くなると思います」と付け加えた。

 木口自身も「今後はまず、変化球の精度を上げていきたいと思います」と優先事項を掲げた。稀有な“2700回転超”を、生かし切らなければもったいない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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