球界の“常識”と対極…プロ注目左腕、無類のタフネスの秘密 DeNAスカウト驚く急成長

東日本国際大戦に先発した大商大・星野世那【写真:小林靖】
東日本国際大戦に先発した大商大・星野世那【写真:小林靖】

109球の力投→中1日で7回94球…大商大・星野世那の快投劇

「肩と肘には毎晩カイロを貼っています」。投手なら登板後はアイシング――。そんな常識とは少し異なるケアを続ける大商大の今秋ドラフト候補左腕・星野世那投手(4年)が、全日本大学野球選手権で驚異のタフネスぶりを見せている。8日の1回戦で109球を投げながら、中1日で迎えた10日の東日本国際大との2回戦でも7回94球を投げて1安打無失点。プロ注目左腕の強さの秘密は、“温める習慣”にあった。

 試合は7-0の7回コールド勝ち。星野は初回と2回で計4四球を与えたが、粘り強く無失点で切り抜けると、3回以降は本来の投球を展開した。伸びのある直球と変化球を駆使し、相手打線をわずか1安打に封じ込めた。その裏にあるのが独自のコンディショニング法だ。

「アイシングはしないです」。星野はそう言い張る。登板後も肩や肘を冷やさず、代わりに就寝時にはカイロを貼って患部を温める。「自分には肩や肘を冷やすより、温めて血流を良くする方が合っていると思っています」と説明する。

 カイロは箱買いしているほど。日頃から欠かさず続けているルーティンで、中1日での登板後も疲労感をほとんど見せなかった。もちろん、好投の要因はケアだけではない。大学4年間で磨き上げた投球術も光る。

 最大の武器はチェンジアップだ。指を浅くかける速めの球と、深くかける遅めの球の2種類を投げ分け、打者のタイミングを狂わせる。左投手ながら右打者との対戦にも自信を持ち、その支えとなっているのがこの変化球だ。

 DeNAの八馬幹典アマスカウティンググループリーダーは「大学でどんどん成長しています」と評価。「ストレートの質が魅力ですが、使える変化球も増えています。今日はチェンジアップをカウント球にも決め球にも使えていた」と目を細めた。さらに「スライダーとチェンジアップの軌道が途中まで同じに見えることが、打ちにくさにつながっているのだと思います」と分析した。

楽天・早川のチェンジアップを参考に投球スタイルを確立

 星野が参考にしているのは楽天・早川隆久投手。チェンジアップを生かして直球を際立たせる投球術を学びながら、自らのスタイルを築いてきた。

 近江高(滋賀)の3年時には、春の選抜準優勝、夏の甲子園4強入りを経験した。しかし当時の主役は、投打の大黒柱だった現西武・山田陽翔投手。星野はその陰に隠れる存在だった。

「隣で見ていて常に憧れていました」

 だが、憧れだけでは終わらない。「負けたくないですし、早く同じ舞台で戦えるようになりたいです」。

 高校時代は背中を追った同級生。今は同じプロの舞台で腕を競うことを目標に、全国のマウンドで存在感を高めている。

(横井洸太 / Kota Yokoi)

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