関西にいた22歳の逸材 伝説の剛腕が絶賛した進化、「とにかく良いです」と評した才能

関大・米沢友翔が1回戦に続き好投…打者がストライクと錯覚する「驚異のキレ」
名伯楽もその投球に目を細めた。第75回全日本大学野球選手権記念大会の準々決勝が11日、神宮球場で行われ、第3試合では関大(関西学生野球連盟)が6-1で金沢学院大学(北陸大学野球連盟)に勝利し、準決勝進出を決めた。エースの米沢友翔投手(4年)が7回を被安打5、1失点で勝利に貢献。8回無失点で10三振を奪った1回戦・北海学園大(札幌学生野球連盟)戦に続く好投に、プロでも活躍した関大OBの山口高志氏も絶賛した。
「すごく緊張はしましたが、上手く切り替えて投げることができたので、そこは良かったなと思います」
1回戦は東京ドームだったため、この日は初の神宮のマウンド。初回に1点を失ったものの、2回以降はカーブを有効に使った。「相手打線が真っ直ぐを狙ってきているなと感じたので、上手く変化球を使ってまとめることができました。変化球を交えながら、真っ直ぐをより速く見せるということを意識して投げていきました」。
金沢学院大の角尾貴宏監督は米沢の投球に脱帽するしかなかった。「初回、1番・2番の打者が明らかなボール球を振ってしまいました。後で本人たちに聞いたら、『ストライクだと思って振りにいった』と言うんです。ストライクゾーンから、普通だったらちょうど捉えられるはずの球が、結果的に高めのボール球だったりする。それぐらい、彼のボールのキレや威力は強いんだなと痛感しました」。もはや、なす術がなかった、と言わんばかりだった。
この快投をネット裏から熱い視線で見守っていたのが、関大OBの山口氏だった。1972年春の選手権で関大を優勝に導き、自らもMVPを獲得。阪急(現オリックス)時代には日本球界最速投手として評された“伝説の剛腕”だ。指導者としても阪神で絶対的守護神として活躍した藤川球児投手(現監督)を覚醒させたことでも知られている。
現在は母校の硬式野球部でアドバイザリースタッフを務める山口氏は、日頃から米沢を指導している。「これまではプレッシャーに弱いイメージがあったのですけどね。今年に入ってからすごく良くなりましたね。今日も、いつも通りの安定した投球でした」。教え子の精神面の成長を認めつつ、最大の武器については力を込めた。
伝説の剛腕、山口高志氏が語る名投手の共通点「毎日継続してやり切る」
「米沢は球のキレがとにかく良いですよね。球の出所が見えにくいフォームから、キレのある真っ直ぐとスプリットを投げ分けられる。そこが1番の持ち味だと思います」
数々の名投手を育成してきた山口氏。良い投手には共通点があるという。「練習を妥協せず、毎日継続してやり切る。究極的はこれに尽きますね。(米沢も)目指すところがハッキリしてきましたからね。次のステージ(プロ)を意識するようになってから、すごく取り組み方が良くなってきたと思います」。
一昨年のドラフト会議で5球団が1位指名した関大OB・金丸夢斗投手(中日)と米沢を重ね合わせる。「やはり球の『キレの良さ』が似ていますね。コントロールに関しては、金丸の大学時代の方がもっと良かったですけど。米沢もあのレベルまでは行けるんじゃないかと思いますよ」。関大は他にも阪神OBの岩田稔氏ら左の名投手を輩出してきた。伝統の「関大左腕」の系譜へ、太鼓判を押す。
「あとはメンタルをもっともっと強くして欲しいですね」と笑う山口氏。自身が経験した1972年以来、54年ぶりの日本一へ。22歳の左腕にかける期待は大きい。
(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)