交流戦チーム防御率12球団ワースト4.76「思い切りをもう一つ出せなかった」
横浜DeNAベイスターズ28年ぶりのリーグ優勝を託された相川亮二監督が、決断の裏側を明かす連載「ヨコハマ・アイ」。巻き返しを期したはずの交流戦で5勝13敗の11位と大失速し、借金は10に膨らんだ。パ・リーグとの“差”、監督として初の退場、故障を抱えながら戦う牧秀悟内野手や、不振の筒香嘉智主将への信頼――。連載第2回は、苦しんだ交流戦18試合を紐解く。
電撃トレードの夜に“押した背中”、「1番・牧」を再考したタイミングと理由…DeNA相川監督が明かす“決断”|ヨコハマ・アイ#1
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交流戦のチーム防御率は12球団ワーストの4.76、1試合の平均得点は3.6点。6月13日のロッテ戦(ZOZOマリン)では16得点と爆勝したが、打線が繋がらない試合が多かった。「好投手が来たときにどう攻略するかは常に課題。選手の能力だけでなく、こちらのプランニングや戦術も影響するところなので、そういう部分で足りないところが出たかなと思います」と相川監督は冷静に分析する。
セ・リーグ全体としても39勝65敗4分けと成績ではパ・リーグに圧倒された。数字としては大きな“差”。「パ・リーグの選手、戦術の思い切りの良さは感じました」と認め、「僕の中では競り負けていて、ちょっと上回られた。やっていて感じるのは、ちょっとの差が毎試合続いてしまうと、これだけ大きな差がつくということ。思い切りというものを僕の采配も含めてもう一つ出せなかった。させられなかった自分の力のなさは痛感しました」と反省した。
牧が復帰した6月4日の楽天戦で0-7から大逆転勝利も…
上昇気流に乗るべく、確かなキッカケはあった。6月4日の楽天戦(横浜)、右太腿裏の肉離れで戦列を離れていた牧が約1か月ぶりに戦線復帰した。牧は2本の適時打を放つなど5打数2安打3打点で、チームは0-7から大逆転勝利を収めた。
「結果でああいう姿を見せてくれるのは彼に求めているもの。そして彼が持っている明るさはやはりチームに必要なものだと思っています。彼がいないから明るさが出せないということではないですけど、さらにチーム全体が勢いに乗れる存在だということは再認識しました」
しかし、患部は万全とはいかなかった。13日のロッテ戦後に違和感を訴え、翌14日の同戦は欠場。今後はコンディションを判断しながら、休養日やベンチスタートの日を設けるなど“付き合っていく”ことになる。治療に専念して、一日でも早く万全でプレーするということも考えられなくはないだろうが、指揮官は明かす。
「休むっていう選択肢もきっとあると思うんですけど、まず本人もチームもそれを望んでいないということです。誰でも一緒で、怪我をするリスクは全員持っています。その中で、こちらはコンディションを整えることを可能な限りやるということ。彼がまずファイティングポーズを取っているということが一番大きいですし、自分やトレーナーの判断も含めて抹消するという選択肢はない。当然、いけるなら全部出なきゃいけない選手。それも踏まえて、彼が必要な戦力だということは、僕が言う必要もないとは思っています」
筒香は1か月で打率.302→.224に急降下「イメージは昨年後半の打撃を」
打線でいえば、交流戦開始時に打率.316だった度会隆輝外野手が、交流戦打率.208で、シーズン.281まで降下。開幕から好調だった筒香は、5月19日時点で打率.302をマークしていたが、現在は.224と苦しんでいる。
「今までのベイスターズであれば、筒香、宮崎(敏郎内野手)、佐野(恵太内野手)の3人が引っ張っていって、その中で今は度会、勝又(温史外野手)、蝦名(達夫外野手)、松尾(汐恩捕手)、そういう選手がこれから上がっていくための戦力だと思っています。彼らがいい成績を残せば残すほど、また力になる。ベテラン、実績がある選手はいつも通りの実力を発揮する。そこに早く近づけなければ、得点を取っていくということは苦しいのかなと思います」
中でも、2016年に44本塁打、2018年に38本塁打を放った筒香への信頼は揺るがない。現在の野手陣では唯一、30本塁打以上を放った実績がある。「求めている長打力という面で、(30本以上の)実績としては筒香しかいないので。早く復調というか、イメージできるところでいうと昨年後半の打撃をね」と願う。
筒香は昨年もシーズン後半から調子を大きく上げた。今季、いかにして取り戻させるのか。「結局、試合に出ないと。出ないでそうなる(復調する)とは思えないので」。主将を託した背番号25の強烈なキャプテンシーは、チームをひとつにして背中で牽引する。あとは打撃の光を見出すだけだ。
6月11日の日本ハム戦でドラ1・小田がプロ初スタメンも“ほろ苦”
6月7日、ドラフト1位の小田康一郎内野手が初めて1軍に昇格した。11日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では「7番・二塁」でプロ初先発も2三振、守備ではベースカバーの遅れが失点に繋がり、チームは敗れた。15日に出場選手登録抹消となり、結局、3試合で計8打席に立つも7打数無安打に終わった。“ほろ苦”だった1軍生活も、相川監督は22歳に強い思いを込める。
「交代したあとも当然悔しそうにしていましたけど、翌日はまた張り切って練習もしていました。そういう姿は彼が成長していく過程ですごく大事だと思います。むしろ、変な自信にならなくてよかったと思うんです。簡単にコンコンと打ってしまうようじゃなくて。彼がもっといい選手になるためには、必要な結果だったのかと思います。レギュラーになるためには、もっともっと乗り越えていかないといけないものがあることを知れた期間になったんじゃないですか」
この経験をどう生かすかは小田次第。1軍にいた8日間で感じた悔しさ、歯がゆさは、この先長く続くプロ野球人生の糧となることだろう。
6月7日ソフトバンク戦で遅延行為により退場「本当に重要な場面でした」
6月7日のソフトバンク戦(横浜)では延長11回2死一塁の場面で、宮崎が空振り三振に倒れた際に捕手のミットに当たったとして打撃妨害をアピール。相川監督もベンチを飛び出して抗議した。5分を超えたため遅延行為となり、監督としては初の退場処分を受けた。
「選手が抗議しているところで、守るっていうわけではないですけど、本当に重要な場面でしたし、打撃妨害であればチャンスが広がって勝てる場面でもある。チームを勝たせる行動が必要なポジションですし、当然ですけど抗議をしたというだけです」
5分が経てば退場となることは早い段階で主審から告げられていたが、勝利のために引くわけにはいかなかった。退場後はベンチ裏のモニターで試合の行方を見守った。「あらためて選手たちが頑張っている姿は、ベンチにいるときとはまた違う姿に映りました」。しかし4時間41分にも及んだ雨中の激闘は、延長12回に2点を奪われ、勝利を掴むことはできなかった。
リーグ戦再開…球宴まで前半戦残り31試合「まず接戦に持ち込む」
19日の阪神戦(横浜)からリーグ戦が再開する。まずはひとつの区切りとなる球宴まで、前半戦は残り31試合。背番号81は青写真を描く。
「投手陣はしっかりゲームをつくっていける選手と、なんとか中盤までつくれる選手が見えたので、その中でどう継投していくか。攻撃陣はいい投手をどう攻略するか。チーム単位か個人かはその日のプランがあるので。まずは接戦に持ち込んで、勝ちに転じる攻撃を目指したいと思います。31試合あれば当然31勝したいですけど、それはなかなかできないので、どうやって勝てる試合を1試合でも多くものにしていくのか、それが重要だと思っています」
今はまだ遠い上位の背中。1戦ずつ白星を積み重ね、まずはその差を少しずつ縮めていく。
(町田利衣 / Rie Machida)