勝率6割と巻き返し見せる7月「変えたことは事実です」
横浜DeNAベイスターズ28年ぶりのリーグ優勝を託された相川亮二監督が、決断の裏側を明かす連載「ヨコハマ・アイ」。6月は4勝15敗と苦渋を味わったが、7月は12勝8敗1分けと巻き返し、前半戦は39勝50敗3分け、借金11の4位で終えた。連載第3回は前半戦を振り返り、勝又温史外野手、度会隆輝外野手、山崎康晃投手、3人の選手にスポットを当てる。
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首位の阪神・巨人には10.5ゲーム差をつけられている。相川監督は「当然ながら想像していた結果ではないです。本来は8月中旬や9月から勝負をかけようとしていたことが、この7月にやらなくてはいけない状況になってしまいました。貯金をした中での戦いをしていたかったですが、そうできずにこの7月を戦っているところです」と唇を噛む。
6月を「ほとんどのことがうまくいかない状態で、勝たせられない、ファンに勝利を届けられないつらさがありました」と振り返る。7月に入るにあたり「詳細は言うことではないですが、気持ちの変化は当然ありましたし、選手にも伝えました。変えたことは事実です」。戦い方も、結果も一変した。
前半戦の“誤算”は多くあった。一方で、投手陣は6人の日本人投手がプロ初勝利をマークした。野手を見ても、若き力が芽吹く。「想定していた選手がいない、怪我をするということは可能性としてあること。その中で新しい戦力が出てきてくれたことはチームとしてありがたいですし、その人たちにとってのチャンスを生かして、次にまた出場機会を得るような結果を出してくれたと思います」と収穫も強調した。
レギュラー掴んだ勝又温史は「なかなか今のプロ野球でも珍しい」
特筆すべきは、勝又の存在だろう。野手転向5年目の今季、4月11日に感染症特例の代替選手として1軍に昇格すると、ひたむきに数字を残して外野のレギュラーを掴んだ。6月9日からは23試合連続安打をマークし、同21日からはリードオフマンに定着。指揮官にとっても、感慨深いシンデレラストーリーだ。
「期待値があって、出場機会をもらって(レギュラーを)獲っていく選手がほとんどの中で、彼は本当に結果を出して実力で獲った。なかなか今のプロ野球でも珍しいんじゃないかと感じています。練習している姿、プレーしている姿は、皆さんが思うように毎日必死にやってくれているので、本当にチームにとって貴重な選手ですし、みんなにいい影響を与えてくれる存在じゃないかなと思っています」
忘れられないシーンがある。今季初出場となった4月12日の広島戦(横浜)。1点を追う7回2死二塁から、詰まらされながらも左翼線ギリギリに落とす適時二塁打でプロ初打点を挙げた。「あれがまさに勝又だなというヒットでした。『H』をつけるために食らいついていく。言い方は悪いですけど“汚いヒット”が出るとうれしくなります」と目尻を下げた。
それは1番打者に据える理由のひとつでもある。「結果どうこうではなく、勢いをつけてくれる姿が勝又の存在」と賛辞を送る。実際に、勝又に安打が出ればチームは大いに盛り上がる。後半戦は他球団からのマークもきつくなることが予想されるが「勝又らしくやってくれればいいですし、それを忘れないでほしいというだけです」と期待を寄せた。
度会隆輝は「3割じゃなくて3割4、5分を打てる選手だと思っています」
勝又らに押し出される形でベンチを温めることが増えているのが、度会だ。開幕後はレギュラーと呼べる立ち位置にいたが、5月の月間打率.303に対して6月は同.222と成績を落としてその座を明け渡した。7月からはヘラル・エンカーナシオン外野手の加入もあり、出場機会は減っている。前半戦は83試合で打率.278、6本塁打、26打点だった。
「当然、調子というのは上下がありますが、彼は入団してこの2年間、試合に出続けると成績が落ちて2軍に行くことが続いていました。今年はいいスタートを切って悪い成績ではなかったけど、落ちてしまう。やはり出続けていくと集中力というか、そういうものが続かないというのはすごく僕自身も感じているところがあります」
代打では打率.368(19打数7安打2本塁打)と勝負強さを示す。力はわかっているから、期待値も高い。「今も代打で行った時はすごくいい打撃をしてくれるので、これからまた取り返してくれることを僕は期待しています。2割8分、7分という選手ではないし、3割じゃなくて3割4、5分を打てる選手だと思っています。それを僕も望んでいるし、本人もそこにトライしているというところだと思うので」と説明する。
さらに「どう結果を出して集中力を続けていくか。レギュラーになれば年間500〜600打席、その1打席も抜かない、集中力を続けていく。僕はそういう一流選手たちを見てきたので、やっぱり度会にもそれを求めたいですし、そうなってほしいと思っています」と強く願う。ここまで先発出場は右翼で35試合、左翼で16試合、三塁で8試合。仮に課題が解消されれば、三塁での起用の選択肢も消えてはいない。不動の存在となるべく、“継続性”が不可欠要素となる。
250Sへあと4も降格…山崎康晃は「勝負できる状態ではないと」
通算250セーブの偉業にあと「4」に迫っていた山崎が、7月3日に再調整のため出場選手登録を外れた。6月に入るときには防御率1.65を誇っていたが、同月5登板で3敗。7月2日の広島戦(横浜)では2者連続四球を与えて降板となっていた。
「最後はストライクを投げられなくなってしまったので。ずっと最後(抑え)をやってきて、一番怖さを知っている投手だと思うし、そういう中でストライクが取れないということは調整し直すタイミングだと。打たれることはどの選手もあることだと思いますが、四球はタダであげるものなので、そこは勝負できる状態ではないのかなと」
降格の際には、相川監督自ら「250セーブで終わりなのか。それだけでいいのか。300セーブ、400セーブを目指し、40歳くらいまで野球をやる気はないのか」と語りかけた。山崎の上を目指す思いを確認し「じゃあもう一回、ちゃんと作り直していこう」と2軍行きを告げた。
「しっかりした球を投げられる、勝負できる状態ですという報告がファームからあれば、1軍も中継ぎは厳しい状況ではあるので戻ってきてもらいたいと思います」。開幕前から今季の抑えは決めない方針を示してきた。それは今も変わらない。背番号19には状態を取り戻して1軍切符を掴み、再び最終回を投げられるだけの信頼を得ることが求められる。
過酷な夏場の連戦へ「運用というのはすごく大事になる」
後半戦は31日、東京ドームでの巨人戦からスタートする。ここまで6試合で1勝5敗という“鬼門”だが、「どこが苦手、どこが得意、ではない。1試合をどう取っていくかを全員で考えて戦うのみです。いろいろな状況があると思いますが、いるメンバーでどう勝つかを追求していくしかないのかなと思います」と強調する。
8月は6連戦が続き、26試合中21試合が屋外球場での試合となる。指揮官は、過酷な夏場を戦い抜くための青写真を描く。
「運用というのはすごく大事になると思いますし、選手たちの体調を考えながらの起用にもなると思います。練習の部分からどういう形で進めていけば疲労、暑さをしのげるのかというところも含めて、やれることは全部やっていくということがカギになるのではないでしょうか」
長いシーズンも残り51試合。相川ベイスターズの底力を見せる。
(町田利衣 / Rie Machida)