「いつまでやるの?」 元阪神ドラ1に届く声…現役にこだわる理由、背負う“仲間の思い”

オイシックス・高山俊【写真:竹村岳】
オイシックス・高山俊【写真:竹村岳】

4月に33歳を迎えた…なぜ今も現役を続けるのか

 かつての新人王は今、何を思い、どこを目指しているのか――。新天地に新潟を選び、今季が3年目。オイシックス新潟の高山俊外野手は、若手たちとともに汗を流し、さらに成長を遂げようとしている。盟友たちは次々とユニホームを脱ぎ、自身も33歳になった。なぜ今も、現役であることにこだわるのか。背負っているのは、これまで出会った仲間たちの思いだ。

 東京・日大三高時代には甲子園優勝を経験。明大では、東京六大学で新記録となる通算131安打を放ち、2015年のドラフト会議で阪神から1位指名を受けた。2016年は136安打を放ち新人王を獲得。誰もがスターの誕生を疑わなかったが、その後は伸び悩んだ。2023年オフに戦力外通告を受け、オイシックスへ。入団会見では色紙に「初心」と記し、新たな一歩が始まった。

 中谷将大、江越大賀、陽川尚将……。阪神で同じ時代にプレーした選手たちはユニホームを脱ぎ、新しい人生をスタートさせている。高山も4月に33歳を迎え、ベテランの領域が見え始めてきたところだ。今のモチベーションを問われると「言葉で言うのは難しいんですけど……」。胸の中にある思いを打ち明けた。自分だけではなく、野球に情熱を注ぐチームメートの姿を見ると、簡単には諦められない。

「阪神の時は1軍では結果を求めて、2軍にいた時は這い上がるために練習をしてきました。でも、ここは2軍しかない。環境の違いもすごくある中で、今までは恵まれていたんだなという感じはしたんですけど、どんな環境だとしても努力している選手を見ていると『何がモチベーションか』という感覚ではやっていないのかなと思いますね」

 オイシックスのチームメートには陽岱鋼外野手をはじめ、又吉克樹投手や松山竜平外野手兼打撃コーチら、NPBで実績を重ねた選手たちがいる。NPBという舞台から去った今も、野球に“何か”を求め、諦められない先輩たちの姿は自分にも重なる。「ここの選手たちとやっていることが、刺激になるのは間違いないです」。自分のモチベーションだけではない。限られた環境でも高みを目指して努力する日々は、高山をさらに強くしている。

 6月26日からはタマスタ筑後でソフトバンクとの3連戦に臨んだ。高山は出場2試合連続で猛打賞を記録。持ち味である打棒が健在というわけではなく、内野ゴロでも全力疾走する姿が何よりも印象的だった。まだまだ“情熱”が燃えていることは、その姿が証明している。「確かに野球は好きだし、失敗のスポーツですから。どういうふうに打つのが正解なのか、なかなか見つけられない。だから楽しいのかもしれないですね」と続けて語った

今も胸に深く刻まれている横田慎太郎さんの存在

 千葉県船橋市出身。アマチュア時代のチームメートで、現役を続けているのは元日大三高で主将を務めていた畔上翔内野手(Honda鈴鹿)だけだという。「その他にはもういないと思いますね。だからアゼのことも応援していますよ」。30代になり、増えていくのは「辞める理由」ばかり。「続ける理由」を見出しながら日々を過ごしている。そして高山は、胸に刻まれている盟友の名前を口にした。「横田が、そうだったので」――。

 横田慎太郎さん。阪神時代のチームメートで、2016年にはともに開幕スタメンに名を連ねた。当時チームを率いていた金本知憲監督のもと「超変革」というスローガンを象徴する存在だった。しかし、横田さんは脳腫瘍の影響もあり28歳という若さで天国へと旅立った。「やりたくてもできない人がいる」という言葉は、何よりも重かった。仲間の思いを背負い、納得がいくまでグラウンドに立ち続ける。

「『いつまでやるの?』という声もけっこうありますけど、いつまでやるかなんてわからないです。そんな先を考えてプレーする立場でも、環境でもない。できるところまでやってみて、身を引く時は勝手に引いて終わるかもしれない。今は頑張ってみて、どうにかなるでしょうと思いながら進んでいきたいと思います」

 結末がどうなるかなんて、自分自身にもわからない。ただ、1つだけ理解している。諦めるには、まだ早い――。高山は、新潟でバットを振り続ける。仲間たちの思いを背負いながら、野球に“何か”を求めて。

(竹村岳 / Gaku Takemura)

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