ドジャースの大谷翔平選手が、今季は見事な二刀流復活を果たしている一方で、本塁打のペースが昨年よりやや落ち着いている。前半戦は22本塁打にとどまり、これはエンゼルス時代の2023年以降で「ワースト」の数字となった。
ファンやメディアの間では「左膝の状態が影響しているのではないか」「打撃スタイルを変えたのか」といった憶測が飛び交う中、ドジャースのアーロン・ベイツ打撃コーチが取材に応じ、その真相と後半戦への展望を明かした。
過去数年間に比べて開幕直後の滑り出しが「少しスローだった」ことが、全体の数字に影響しているという見立てだ。5月から6月にかけては本来の爆発力を取り戻し、一気に「量産態勢」に入った時期もあったが、開幕初期のブランクを完全に埋めるまでには至っていない。
シーズンを通じた打撃の波はどの打者にもあるものであり、ベイツコーチは「本塁打が少ない理由として、何か特定の要因を一つだけ指し示すようなことはしない」と強調する。
今季の大谷を語る上で外せないのが、投手としての復帰、つまり「二刀流の完全復活」にともなう肉体的負荷だ。投球と打撃の両方を高いレベルでこなすことによる疲労やスタミナへの影響について、ベイツコーチも「確実に何らかの影響はある」と認めている。
しかし同時に、二刀流は精神的な「プラス面」もあると指摘する。打撃の調子が上がらない時でも投球に意識を集中させることができるため、打撃のことばかりを考えすぎて「ドツボにハマる」のを防ぐ“防波堤”にもなっているというのだ。大谷自身が自分の体と負荷のコントロールを深く理解しているため、首脳陣も全幅の信頼を置いている。
また、懸念されている「左膝の状態」について、ベイツコーチは明確に否定した。
「左膝がスイングに影響を与えているとは思わない。どちらかといえば、違和感が出るのは走る時だ。打つ時にはそれほど感じていないようだ」
大谷は6月11日(日本時間12日)の敵地・パイレーツ戦で左膝の炎症のため途中交代。前半戦の最終戦を終えた後の12日(同13日)には、左膝の「水を抜く処置」を受けた。両リーグ最多得票で選出されていたオールスター戦の欠場を余儀なくされたものの、後半戦開幕となる17日(同18日)の敵地・ヤンキース戦には指名打者として出場する。
実際に、左膝の懸念によってシーズン中の打撃練習の量を減らすといった措置は取られておらず、スイングの「量」自体は例年通りにキープされている。大谷はもともと、他の打者に比べて練習で「スイングを多く振るタイプ」ではなく、現在の練習プロセスにも一切の狂いはないとのことだ。
データ上で「スイングスピードがわずかに低下している」という指摘に対しても、首脳陣は「より確実に当てる打撃にシフトしたわけではない」と説明する。WBCから始まった激闘の「疲労の蓄積」が背景にあるとしつつ、「ただでさえ彼は他の誰よりもスイングスピードが速い。私たちが求めているのはスピードの最大化ではなく、スイング全体の質だ」と、全く問題視していない姿勢を示した。
ベイツ打撃コーチ断言「彼が打ちたいと思うだけ、いくらでも打てるでしょう」
インタビューの終盤、話が「オールスター休養日」と「後半戦の展望」に及んだところで、ベイツコーチの口調はさらに熱を帯びた。ここからが、大谷の後半戦を占う上で最も重要なポイントとなる。
球団は、大谷がオールスター休みの4日間を利用して、左膝の治療と休養に充てることを明らかにしている。ベイツコーチはこの休養が、後半戦の起爆剤になると確信している。
「国中を移動してイベントに追われるよりも、しっかり体を休めて治療の時間を設けることは、彼にとって間違いなく大きなプラスになる。ここでエネルギーを完全にチャージできるはずだ」
休養を経て、万全の状態になった大谷は、後半戦でどれほどの本塁打を積み重ねるのか。記者から「後半戦は何本打てると思うか」と問われたベイツコーチは、一切の迷いなくこう断言した。
「彼が打ちたいと思うだけ、いくらでも打てるでしょう。彼がこれまでに示してきた異次元の能力を考えれば、私たちが『これくらいだろう』と限界を決めるような真似は絶対にしない。後半戦、彼が再び調子を上げて(前半戦の)差をあっさりと埋めてしまう可能性は十分にある。翔平は、何だって成し遂げられる男だからだ」
前半戦のスロースタートも「二刀流の負荷」も「左膝の違和感」も、すべては最強の怪物が後半戦に大爆発するための“助走”に過ぎないのかもしれない。
完全休養を経てギアを入れ直す大谷翔平が、後半戦にどのような驚愕のアーチをかけてくれるのか。打撃コーチの言葉は、その「大巻き返し」がすぐそこまで迫っていることを強く物語っている。