全国制覇4度の名将が漏らした“本音”「寂しいよね」 初戦突破も…痛感した高校野球熱の差

創志学園を率いる門馬敬治監督【写真:喜岡桜】
創志学園を率いる門馬敬治監督【写真:喜岡桜】

岡山大会初戦突破の創志学園、門馬監督が称えた粘り

 地域から愛され、育ててもらえるチームへ――。東海大相模(神奈川)を4度の全国制覇へ導いた名将・門馬敬治監督が率いる創志学園(岡山)は、第108回全国高等学校野球選手権岡山大会の初戦に4-2で逆転勝利。門馬監督は「ヒットの数で試合をしているわけじゃないでしょ。結果が勝っていれば、それでいいんだから」と目を細めた。

 16日に行われた岡山商科大付との一戦、創志学園は2点ビハインドの展開から試合をひっくり返した。3回、適時三塁打で1点を先制されると、続く4回にも1点を追加され0-2に。すぐに1点を取り返すも、逆転のチャンスは相手の好守に阻まれた。5回の攻撃前、門馬監督は選手たちを集めて声をかけた。

「思いが強いほど現実化していくって話を(これまで選手たちに)してきた。だけど試合をすることによって、思っていたことと(現実に)ズレが生じてくるんだよね。思うように打てない、点がとれない。向こうの方がイキイキやっていた。(思いとは)逆の戦いになっていたんだよ。だけど、必ず朝は来るって。苦しいのは向こう」と選手の背中を押した。

 すると、念じていた好機が7回に訪れた。創志学園は4者連続四球で同点に追いつくと、なおも満塁のチャンス。「4番・一塁」で出場した浮田崇志郎内野手(2年)が犠飛を放ち勝ち越した。試合後、門馬監督は最後まで諦めなかった選手たちを称え、「改めて思うよ。人は弱い。今日の名言だ。俺も弱い」と頷いた。

創志学園ナイン【写真:喜岡桜】
創志学園ナイン【写真:喜岡桜】

スタンドが埋まることで「選手が育つんだよね」

 スタンドからの応援も選手を支えたが、門馬監督は「寂しいよね」と零した。この日、神奈川大会では東海大相模と横浜が4回戦で激突。試合が行われたサーティーフォー保土ケ谷球場は、平日にもかかわらず1万人を超える観客で埋め尽くされた。一方、創志学園の試合は空席が目立った。

「(神奈川大会の注目カードは)試合開始2時間前には満員札止めだからね。(観客が多いことで)選手が育つんだよね。人に見られているっちゅうことが当たり前になってくるんだ。僕も岡山に来て4年になるけど、『あそこを見てみてぇな!』と思われるチームを作りたい。(創志学園が)そんなチームになれたら、もっと強くなれるんじゃないかな」

 2022年春に単身移住してきて約4年。監督就任1年目の秋季中国大会では準優勝を果たした。しかし、慣れない家事に加えて、それまで縁のなかった地でのチーム作りは容易ではなかった。「僕も(岡山県に)どっぷり浸かって、いろんなことを感じながらやっていますもん。やっぱり苦しい。苦しいですよ」。2024年春には甲子園で1勝をあげたが、まだ夏の甲子園切符は掴んでいない。

 2026年の春は岡山大会と中国大会で頂点に立った。今年のチームは、門馬監督が県内外の有望中学生を見て回り、集めた逸材が顔を揃えており、ここ4年で一番期待値が高い。「これまで先人たちが築いてこられた歴史に敬意を持ちながら、新しいことにチャレンジしながら切り開いていきますよ」と指揮官。名将は甲子園の先にあるチームの未来まで見据えている。

(喜岡桜 / Sakura Kioka)

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