無念の春に続き…逃した甲子園「言葉にならない」 日大三の主将が明かす“怒涛の2年間”

日大三・田中諒【写真:加治屋友輝】
日大三・田中諒【写真:加治屋友輝】

日大三野球部の“危機”に、田中諒が主将として貫いたこと

 無念の夏となった。2年連続甲子園出場を目指した日大三高(西東京)は24日、第108回全国高校野球選手権西東京大会の準決勝で敗退。創価に4-7で敗れ、夏連覇を逃した。試合後、主将の田中諒内野手(3年)は「甲子園の決勝以上に、悔しいっていうか。なんて言うんですかね、言葉にはならないんです……」と声を絞り出した。

 昨年の夏、田中は憧れの甲子園で鮮烈デビューを飾った。1年秋から上級生を押しのけ4番に座り、夏の西東京大会では2本塁打の活躍。2年ぶりに日大三を甲子園へ導くと、2回戦の豊橋中央(愛知)との試合では、勝ち越しのソロ本塁打。三木有造監督も「本当に頼りになる4番打者」と称えたほど、大舞台を経験し頼もしさが増した。

 新チームでは主将に就任。秋から捕手としての挑戦も始め、甲子園を目指し練習に明け暮れた。しかし、今年2月に野球部員によるSNSの不適切利用が問題となり、春季大会の辞退にまで発展。選抜出場も逃した。

「(活動休止中は個人で)毎日バットは振っていました。(活動再開後は)一つになろう。またイチから、前を向いてやろう」と、田中は、チームがバラバラにならないように“主将”として声をかけ続けた。

2試合連続で見せた“土壇場の粘り”…9回に放った意地の一打

 ノーシードで迎えた最後の夏、日大三にとって、最大の山場は準々決勝・東海大菅生戦だった。2点をリードされて9回を迎えたが、1死二、三塁のチャンスをつくると、高道海心(3年)が右翼席へ劇的な逆転3ラン。“脅威の粘り”で、前年の決勝でも対戦したライバルを下した。

 創価との準決勝は6点ビハインドで迎えた。相手に大量リードを許していたが、日大三は最後まで勝利を諦めなかった。2点を返し、なおも2死一、二塁のチャンス。ここで3番・田中が打席に立った。

「もう一回チャンスが来た。仲間がチャンスをつないでくれた」

 2球目の速球を引っ張った田中の打球は適時打となり、3点差に迫った。後続が続かず“土壇場の粘り”もここまでだったが、田中は2安打2打点の活躍。「チームを盛り上げるためにも1本が出て嬉しかった」と胸を張った。

 栄光と試練、歓喜と葛藤――。田中は、怒涛の高校野球生活を静かに振り返った。

「自分の代で甲子園に行きたいという思いがあったので、自分のバッティングができずに終わったというのも含めて悔しい。でも、最後は笑ってやることができたので、去年より成長できたところなのかなと思います」

 取材ゾーンから去る後ろ姿は、少しもの寂しげだった。神宮のグラウンドに残した悔しさは、きっと次のステージで飛躍するための大きな糧となるはずだ。

(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)

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