元ドラ1右腕が社会人でプレーする意義…後輩に託す思い 古巣復帰で感じた変化

西武、ヤクルトでプレーした東芝の宮川哲
社会人野球最高峰の舞台、都市対抗野球大会が8月26日に開幕する。西関東第1代表として出場する東芝には、西武、ヤクルトで6年間プレーし、今季から古巣復帰となった宮川哲投手がいる。7シーズンぶりに東芝へ戻った右腕は、チーム最年長として悲願の日本一を目指す。
2019年ドラフト1位で東芝から西武へ入団。2023年オフにヤクルトへトレード移籍したが、2025年オフに戦力外通告を受けた。新たな道を模索する中、韓国リーグからもオファーが届いていた。海外挑戦も視野に入れていたが、東芝時代の監督で現在はGMを務める平馬淳氏からの連絡が、古巣復帰を決断するきっかけとなった。
「韓国リーグからも連絡をいただいていました。プロですし『行ってみたい』という気持ちはありました。でも、東芝にはこれまでプロ入りした選手が戻ってくることはなかった中で、平馬さんがすぐに連絡をくれました。これも縁だと思って東芝に戻ることを決めました」
7シーズンぶりに帰ってきたチームは、大きく様変わりしていた。かつては経験豊富なベテランが多く、勝負強さが売りだった。一方で、現在は身体能力の高い若手が数多くそろう。チーム最年長となった宮川は、自ら積極的に若手へ声を掛けるようにしている。
「若いチームになったなと思いました。今の選手たちは能力が高いので、ついていくのに必死です。いろいろ聞いてきてくれる選手もいますけど、自分から話しかけるようにもしています。気を遣われるのは嫌なので、普通に接してほしいですね」
変わっていたのは、チームの顔ぶれだけではない。練習環境も大きく進化していた。

後輩に託す思い「1人でも多くプロへ」
「僕が1年目の頃はピッチングコーチもいなくて、みんなそれぞれ練習しているような感じでした。都市対抗には出場できても、なかなか勝ちきれなかった。でも今は薮田(安彦・元ロッテ、米大リーグロイヤルズ投手)さんが、エグゼクティブ・アドバイザー兼アナライザーを務めてくださっていて、練習体系もしっかりしています。グラウンドも人工芝になって、環境もすごく良くなりました」
西武、ヤクルトで過ごした6年間は、決して順風満帆ではなかった。それでも、プロでしか得られない経験は今も大きな財産となっている。だからこそ、古巣の後輩たちにもプロという舞台に挑戦してほしいという思いは強い。
「野球をやっている以上、みんなプロを目指していると思います。大変な世界ですけど、行かないと分からないことがたくさんあります。1人でも多くプロへ行ってほしいですね」
社会人野球の選手は、企業の一員でもある。社員との交流を通じて野球の魅力を伝え、1人でも多く球場へ足を運んでもらうことも、自身の役割だと考えている。そして、その先に見据えるのは都市対抗優勝だ。
「野球にあまり興味がない社員の方ともコミュニケーションを取って、球場に来てもらい『また応援に来よう』と思ってもらえるようになりたいです。そして、社会人野球の選手はみんなそうだと思いますが、目標は都市対抗で優勝することです。優勝するだけじゃなく、自分がしっかり投げて、その中で優勝したいと思っています」
プロで得た経験を胸に、チーム最年長として迎える都市対抗。宮川はマウンドからナインをけん引し、日本一を目指す。
(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)