驚異の先発防御率「1.88」で独走した味全 エース移籍の穴を埋めた強力投手陣の凄み

2026年前期シーズンを制した味全ドラゴンズ【写真提供:CPBL】
2026年前期シーズンを制した味全ドラゴンズ【写真提供:CPBL】

強力投手陣を軸に打力、走力を高めた味全

 前後期60試合制の台湾プロ野球は開幕から4か月が経過し、前期日程を終了。観客動員も好調で、新本拠地に移転した統一ライオンズの来場者増もあり、219試合消化時点で平均1万118人と、初の1万人台を記録した昨年並みで推移している。

 7月18、19日に台北ドームで開催されたオールスターゲームは2日間連続で4万人の大入りを記録。第2戦の7回には中信兄弟の平野恵一監督と富邦の後藤光尊監督による「元オリックス二遊間」が実現し、平野監督が軽快な動きで5-4-3の併殺を完成させファンを沸かせた。

 前期優勝を飾った味全ドラゴンズは6月20日、ビジターで台鋼ホークスと対戦した。味全のドリュー・ギャノンと、ヤクルトでプレーした台鋼のデビッド・ブキャナンの投げ合いでスタートした試合は、味全が8回に3点を奪い、9回にも1点追加。最終回は林凱威が3者凡退に抑え、2023年後期以来となる6度目の半期優勝を果たした。味全は4月24日に首位に立つと、球団タイ記録の9連勝で5月26日にマジック17を点灯させ、危なげなく逃げ切った。優勝までの55試合で37勝18敗、勝率.673と圧倒的な強さを見せた。

 安定した投手力を誇るチームだが、来台6年目のギャノンに加え、クリストファー・メルセデス、マルセロ・マルティネス、ジョン・ガント、台湾人登録のブライアン・ウッドールら外国人投手が55試合中48試合先発。先発防御率1.88と圧巻の数字を残し、ソフトバンクへ移籍した徐若熙の穴を埋めた。

 打撃陣は主砲のギリギラウ・コンクアンの怪我による長期離脱、陳子豪の不振があったが、6月月間MVPの郭天信、李凱威、張政禹、朱育賢、24歳の王順和が躍動。55試合で66盗塁、227得点、215打、本塁打31本、得点圏打率.287をマークした。

 イエ・ジュンジャン監督は優勝決定後、「全ての選手、スタッフ、スコアラーの皆がキープレーヤーだ。みんなの努力でこの半期優勝を勝ち取れた」と目をうるませながら感謝。優勝を支えた一員には、古久保健二巡回統括コーチ、と井尻哲也アナリストの存在も。昨季楽天を王者に導いた古久保氏は2軍育成を中心に1軍との橋渡し役を担い、東大野球部出身の井尻アナリストは、データ分析で選手の潜在力を引き出した。

 一方、2位と健闘した富邦は後藤光尊監督が昇格し、森野将彦ヘッド兼打撃コーチ、的山哲也バッテリーコーチら日本人指導者7人体制で再建。2016年の球団買収以来の低迷から脱却し、2024年10月の林威助副GM就任に伴う改革の末、球団半期最多の34勝を挙げ変貌を遂げた。

 一昨年王者の中信兄弟は開幕15試合で12敗と出遅れ、チーム防御率は4.23と低迷。6月に復調したものの、前期は20勝37敗2分で首位に17.5ゲーム差の最下位に沈んだ。それでも平野監督は、西田明央コーチ、後藤駿太コーチらと若手を積極的に起用し、手応えを掴んでいる。後期は巻き返しを狙う。

開幕直前にクローザーに抜擢されて活躍している22歳の統一・鍾允華【写真提供:CPBL】
開幕直前にクローザーに抜擢されて活躍している22歳の統一・鍾允華【写真提供:CPBL】

打率トップの若手内野手や本塁打王争う元NPB勢、個人成績上位の顔触れ

 個人成績の打撃部門では、打率.310、83安打を記録した台鋼の曽子祐がトップに立ち、2位には元西武の呉念庭(台鋼)が打率.307で続く。本塁打部門は、元メジャーリーガーの張育成(富邦)と、かつて元中日、オリックスのスティーブン・モヤ(台鋼)が12本で並ぶ。すでに62打点を挙げているモヤは、打点でも2位の蘇智傑(統一)、3位の王柏融(台鋼)を引き離している。盗塁部門は陳晨威(楽天)が20盗塁で1位となり、味全の張政禹が19盗塁、郭が17盗塁で追う展開だ。

 投手部門では、10勝を挙げた李東◆(◆はさんずいに名)が最多勝争いのトップを走り、鈴木駿輔も7勝、防御率2.14と健闘する。防御率は元日本ハムのガントが1.42で1位。楽天から移籍した黄子鵬(台鋼)が1.81で3位(投球回数92回1/3)で奮闘している。元巨人のメルセデスは8勝、防御率2.13(5位)と、味全の優勝に貢献した。セーブ部門は最速155キロを誇る22歳の鍾允華(統一)が20セーブで1位となり、曽峻岳(富邦)が19セーブ、林凱威(味全)が18セーブと続く。

 ホールド部門は元阪神の呂彦青(中信)が18ホールド、防御率1.41、WHIP0.81と復活。16ホールドで3位に並ぶ張奕(富邦)と陳冠宇(楽天)も奮闘する。楽天は朱承洋の負傷離脱に伴い、陳が守護神を代行する機会が増えそうだ。

(「パ・リーグ インサイト」駒田英)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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