突如消えた縦じまに“賛否両論”「前の方が良かった」も… 発案者がユニホームに込めた「覚悟」

過去2年は完封負け…3回に3点を奪って一度は逆転も
ユニホームを一新し、チームの歴史を変えていく。第108回全国高校野球選手権は大会第5日の9日、甲子園球場で1回戦4試合が行われ、第2試合は3年連続8度目の出場となった鳥取城北が岡山学芸館と対戦。3回に一度は逆転に成功したものの、リードを守れず3-7で敗れて14年ぶりの勝利はならなかった。
2点の先制を許した直後の3回、2死三塁から山崎寛大外野手(2年)が中前適時打。なお2死二、三塁から秦慎之介外野手(2年)の左前2点打で逆転し、主導権を奪い返した。だが6回に3失点して再びリードを奪われると7、9回にも1失点。4回以降は得点できず、3年連続で甲子園初戦敗退を喫した。
チームをもっとたくましく変えたい――。そんな思いから、見た目は大きく変わった。今夏の鳥取大会で優勝を決めた後に、甲子園に向けてユニホームを一新したのである。
縦じまが消え、色は白からアイボリーに。帽子の文字は金色の「TJ」から侍ジャパンのような赤の「J」となり、紺色のストッキングには赤のラインが加わった。
発案者である野球部顧問の吉本尋先生は「去年の甲子園で負けてから、いろいろ準備を進めてきました」と1年前からのプランだったと明かす。「今の選手たちの代でいろんなものを変えていくんだという覚悟でチームを作ってきた中で、今回の甲子園につながったというタイミングで思い切って一新しようという流れになりました」と説明した。
鳥取県勢は夏の甲子園で初戦11連敗。鳥取城北も2014年以来、白星から遠ざかっている。3年連続出場しながらも、過去2年はいずれも無得点で初戦敗退した。甲子園で勝ちたい思いが年々強くなり「甲子園球場の黒土と、きれいな芝生の中で、さわやかな印象が出るユニホームにしたかった」とイメージチェンジを図ったのである。
1年前からプラン進行「土台がしっかりしないと」
吉本先生は1年かけて野球用具メーカーと話を詰めてきていた。デザイン案が完成したのは今夏の鳥取大会開幕直前。「優勝が決まったら、監督、コーチ陣に提案して、OKをもらえたら変えようと思っていました」と振り返る。7月26日の米子東との決勝で12-3と快勝すると、その日のうちに加藤重雄監督に自身の考えを伝え、納得してもらった上で全部員とスタッフ合わせて約90人分の新ユニホームを発注した。
「新しい城北を作りたいという思いで1年間やってきました。今年は下級生がベンチ入りメンバーに多数入る。毎年、甲子園には出たいですけど、力のない代である今の3年生と出たい思いが強かったので、このタイミングになった部分はあります」
伝統の縦じまをなくす決断には勇気がいる。OBを含めた周囲の反応は「いい意見もあれば、前の方が良かったという意見も当然ある」という。ただ躊躇している余裕はない。「いいものは引き継ぎながら、ベンチには下級生も多いので、思いをしっかり引き継いで、また甲子園に戻ってこられるように頑張りたい」と力を込めた。
2年生でリードオフマンを務める山崎は「ユニホームが新しくなって、気持ちも新たに頑張ろうとプレーしました」と強調。新ユニホーム初戦を勝利で飾ることはできなかったが「ユニホームが変わった年なので土台がしっかりしないといけない。2年生を中心に、もう一回甲子園に戻ってこられるように一丸となってやっていきたい」と前を向く。
夏の甲子園は1回戦を勝利し2回戦で敗れた2014年から7連敗となったが、一度は主導権を奪うなど、過去2年とは違う姿を示した。チームを強くしたい。力強く生まれ変わらせたい。そんな思いがにじむユニホームの変更である。アルプススタンドの部員も全員が新しい戦闘服で声を枯らしてベンチ入りメンバーを鼓舞した。甲子園のグラウンドで映えたのは間違いない。鳥取城北は新ユニホームで新しい伝統を紡いでいく。