「ノウハウも何もない」甲子園遠征 “5000万円規模”を支えたOB&OG…市も全面バックアップ

甲子園に駆け付けた横手の応援団【写真:加治屋友輝】
甲子園に駆け付けた横手の応援団【写真:加治屋友輝】

一塁側アルプスに横手の“大応援団”が陣取った

 心震える大応援は多くの支えで成り立っていた。第108回全国高校野球選手権大会の第7日は11日、甲子園球場で2回戦4試合が行われ、第1試合で57年ぶりの出場を果たした横手(秋田)は敦賀気比(福井)と対戦。序盤から相手打線の猛攻を受け、0-10で敗戦。甲子園初勝利を掴むことはできなかった。

 試合は終始劣勢だったが、応援団が陣取る一塁側アルプスの存在感は際立っていた。在校生、保護者、OBらが集結し、5000人に迫る大応援団がスタンドを“横手カラー”の紫一色に染め上げた。

 迫力のある応援はSNS上でも話題に。全国大会常連という“強豪”の吹奏楽部を筆頭に、DeNAのチャンステーマ「Fight Oh! YOKOHAMA」に加え、「倍倍FIGHT!」「かわいいだけじゃだめですか?」など、流行りの楽曲も採り入れたパフォーマンスは球場のファンを魅了した。

 山信田善宣監督も「ベンチでは応援がとてもよく聞こえていました。背中を押してもらいました」と感謝。スタンドの熱い思いはしっかりと選手たちにも届いていた。

敦賀気比に敗れた横手ナイン【写真:加治屋友輝】
敦賀気比に敗れた横手ナイン【写真:加治屋友輝】

慣れない遠征も…“戦友”やOB、市の支えがあった

 しかし、その裏には見えざる苦労もあった。不慣れな甲子園遠征に加えて、大規模な応援団の引率。バスの手配から費用の捻出……。応援団責任者を務めた阿部政任さんは、その裏側を明かす。

「57年ぶりの甲子園ということで、私たちにはノウハウも何もありませんでしたから……。甲子園に多く出場している金足農業さんの知恵を借りて、準備を進めることができました」

 県大会2回戦で熱戦を繰り広げた“戦友”の手を借り、なんとか旅程を組むことができたというが、最大の難関はここからだった。各出場校が悩まされている、遠征費調達の問題である。「当初は5000万円ほどを見積もっていました。現状で把握している限りですがOB、OGの方々からの寄付のお陰で半分以上を賄うことができていると思います」。

 クラウドファンディングも勧められたというが「手数料の問題がありますから……。なかなか厳しいですよね」と、寄付を中心とした費用捻出に踏み切った。さらに、横手市から手厚い支援もあったという。

 観戦に訪れていた、横手市長の高橋大氏は「お米を贈らせてもらいました。秋田の美味しいお米で育った子たちですから」と笑った。甲子園を前に、300キロにも及ぶ地元の名産「あきたこまち」を贈呈。“食”の面から選手を支えた。

 多くの甲子園出場校が頭を悩ます資金調達の問題。周囲の支えがあって57年ぶりに聖地に戻ってきた横手。悲願の初勝利へ――。その夢は後輩たちに託された。

(井上怜音/ Reo Inoue)

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