甲子園のカメラマン席が「あんなに深いとは…」 飛び込んで知った聖地の“裏側”、超美技で体感

東日大昌平の三塁手、渡辺頼都がカメラマン席に飛び込むビッグプレー
第108回全国高校野球選手権大会の第9日は13日、甲子園球場で2回戦が行われ第3試合で、初出場の東日大昌平(福島)が6-2で強豪・青森山田を下し、3回戦進出を決めた。この試合で甲子園のファンを大いに沸かせたのが、「1番・三塁」で先発出場した渡辺頼都内野手(3年)の初回に見せたビッグプレーだ。
「体を張ってでも捕ってあげたい、ピッチャーをしっかり助けたいという気持ちが強かった」
プレーボール直後、青森山田の先頭打者・川久保昂直投手(3年)が放った打球は、三塁側ファウルゾーンへふらふらと上がった。これを必死に追いかけた渡辺は、左腕をいっぱいに伸ばして捕球体勢のままカメラマン席へと豪快にダイブ。激しく落下しながらもボールをグラブの中にしっかりと収め、笑顔で立ち上がり捕球をアピール。球場全体が大歓声と拍手に包まれた。
「(カメラマン席の位置は)分かってはいたのですが、あんなに深いとは……。それでもボールを掴んでから手を突き、受け身をとるように倒れたので大丈夫でした。カメラマンの方にもぶつからずに済みました」と胸をなでおろした渡辺。怪我もなく、そのまま元気にフル出場した。
試合の主導権を引き寄せた初回の好捕に、指揮を執る江井(えねい)康胤監督も称賛を惜しまなかった。「あのプレーは本当に大きかった。彼は普段から投手陣が苦しい場面になると、自らタイムを取ってマウンドへ向かうような“漢気”あふれる選手。チームに貢献しようという強い気持ちを持っているので、非常に頼もしい存在です」。

アルプスから見守った“フラガール”との意外な交流「優勝を目指して頑張ってほしい」
アルプススタンドから決死のプレーを見守っていたのは、3年生の田中徠羅(らいら)さんだ。同校にはチアリーダー部がないため、所属するフラダンス部の華やかな踊りで盛り上げている。「初めての甲子園は独特の雰囲気ですね」と語る田中さんたちフラダンス部は、1回戦でも多くのメディアに取り上げられ、大きな話題を呼んでいた。
実は渡辺と田中さんには意外な接点がある。今年に入って参加した2度の校外学習で偶然同じ班になり、海岸の清掃活動や工場見学を通して親交を深めていたのだ。渡辺が所属するアスリートコースと、田中さんが通う一般コースでは校舎が分かれているため、普段の学校生活で顔を合わせる機会がほとんどないという。
「日常ではあまり接点がないのですが、今日のプレーは本当に格好良かったです。ぜひ優勝を目指して、最後まで一生懸命頑張ってほしいです」と笑顔でエールを送った。
熱い声援を受け、渡辺も「学校全体が一つになって応援してくれている声を聞くと、『やってやるぞ』という強い気持ちが湧いてきます。次の試合も勝てるよう、全力で準備したいです」と気を引き締め、次戦への決意を語った。
(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)