「トイレ掃除を率先」 生徒会長&主将の人間性…敗戦にもハツラツ「大人が応援したくなる」

鳴門渦潮は県大会ノーシードから甲子園出場
第108回全国高校野球選手権大会第10日は、14日に甲子園球場で2回戦が行われ、第2試合で鳴門渦潮(徳島)は霞ケ浦(茨城)に1-5で敗れた。「5番・捕手」で出場した主将の西岡大誠捕手(3年)は3打数無安打で沈黙。聖地で戦った2試合を振り返り「負けたことは本当に悔しいです。でも、甲子園でプレーすることができて、悔いのない高校野球人生だったなと改めて思います」と言葉を絞り出した。
徳島大会をノーシードから勝ち上がり、2年ぶりに聖地にたどり着いた。西岡は野球部の主将を務める傍ら、生徒会長も兼務しながら高校生活を駆け抜けてきた。「もう本当に大変でした。一番は上級生が引退してからの新チームになった時、本当に不安だった。これまで頼ってきた3年生がいなくなったので……」と振り返る。
チームがバラバラになりそうな時も、自ら声を出し続け、背中を見せ続けた。「本当にしんどいことの方が多かったですけど、3年生15人と、最後の集大成として甲子園でプレーできたことは本当に良い経験になったし、最高の思い出です」。苦労ばかりの記憶だが、同じくらいの達成感もある。
そんな西岡を温かく見守っていたのは、2年生時に担任を受け持った藤川健司先生だ。アルプススタンドで試合を見守った藤川先生は西岡について、「社交性がすごいですね。人の心に伝わる話し方ができる子ですし、大人が応援したくなるような、温かい雰囲気を持っています」と話してくれた。
「例えば、誰もやりたがらないトイレ掃除を率先してやってくれる。その時の言い方も全く嫌味がない。彼が生徒会長だから、他の生徒も快く頼まれ事を引き受けてやってくれるんじゃないですかね」

今後は教員を目指し教育系の大学へ「監督になって甲子園を目指したい」
1人の生徒をこれほど褒めることは珍しい。西岡の人格形成はどこで培われたのだろうか。
西岡は「両親から『ずっと笑顔でニコニコしてやってる姿が一番かっこいいよ』と言われ続けてきたので、グラウンド上でも笑顔でいられました」と振り返る。藤川先生から評価された日々の生活についても、「トイレ掃除やゴミが落ちていたら拾うのは当たり前ですし、そういうところもちゃんと神様は見ていると思っているので。やってきたことが甲子園での1勝につながったんだと思います」と頷いた。
日常の作法を大事に積み重ねてきたからこその、夢の甲子園の舞台だったのかもしれない。
今後は体育の教員を目指し、教育関係の大学に進学する予定だ。「日頃からさまざまな方に支えられて大好きな野球ができていることを改めて実感しました。今度は自分が鳴門渦潮の監督として甲子園に戻ってきたい」。高校3年間で学んだ大切な教えを胸に、今度は指導者として次の世代へ受け継いでいく。
(神吉孝昌 / Takamasa Kanki)