130球超で続投志願→待っていた悪夢 小宮山監督の“厳しい愛”「泣くぐらいだったらちゃんとやれ」

早大・高橋煌稀と立大・田中優飛が初の先発対決、8回まで互いに無失点
かつては同じユニホームで戦った仲間に、先を譲りたくなかった。17日に神宮球場で行われた東京六大学野球秋季リーグ第6週の1回戦で、立大は1-0で9回サヨナラ勝ちを収めた。仙台育英高(宮城)で同級生だった早大の高橋煌稀投手(3年)と立大の田中優飛投手(3年)は8回まで無失点の投げ合いを展開。立大が先勝した一戦には、両者の意地が詰まっていた。
早大の高橋は初回に2三振を奪い、上々の立ち上がりを見せた。3回は2死三塁で越後駿祐内野手(1年)を空振り三振。6回も2死一、二塁で本間律輝外野手(1年)を空振り三振に仕留めた。「真っすぐがしっかり使えていたので、インコースも投げきれました」。走者を背負っても要所を締め、8回まで毎回の11奪三振を記録した。
力投を支えたのは、紛れもなく対抗心だった。「田中も降りなかったので、自分も田中に負けられないと思って、マウンドに上がってました」。8回を終えて130球に達していたが、続投を志願した。「自分がなんとかゼロで繋いで、点を取ってくれるまで頑張ろうと思って投げました」。0-0のまま9回裏のマウンドへ向かった。
そして先頭の本間への2球目だった。右翼席へ鮮やかなサヨナラ弾を運ばれた。8回0/3を132球、6安打11奪三振2四死球1失点。打球を見つめていた高橋は「入るなと思って見ていたんですけど……。もっと丁寧にいくべきだったかなと思います」。マウンドで涙がこぼれた。
無念の敗戦となり、小宮山悟監督は右腕に厳しい言葉を向けた。「泣くぐらいだったらちゃんとやれって話ですよね。そこが甘い」。味方打線の援護に恵まれなかったことに話が及んでも「相手がよかった」と田中の投球を認めた上で、「点取られなきゃ負けないんだから」とピシャリ。高橋自身も「まだ甘いなと思って自覚しました」。8回まで好投しても、負けては悔いしか残らない。

田中も続投を直訴「投げさせてください」、高橋は「まだまだ追いつけない存在」
一方で立大の田中も、同じ思いだった。「高校の同級生なので負けたくなかった」。4回1死二、三塁のピンチを招いたが、高橋海翔内野手(3年)を三邪飛。続く打者は、高校時代にバッテリーを組んだ尾形樹人捕手(3年)を見逃し三振に仕留め、得点を許さなかった。
3回と7回には一塁走者をけん制で刺した。木村泰雄監督は、課題だった立ち上がりに加え、走者を出してからの粘りを評価。けん制は「彼の持ち味」と称えた。7回終了時点で120球に達していたが8回も続投。大内碧真内野手(4年)ら強打者から連続三振を奪うなど3者凡退に抑えた。
「投げさせてください」。9回も続投を直訴したが、135球に達しており、球威の低下もあって交代を告げられた。8回5安打4奪三振4四死球無失点。
9回は岡本昇磨投手(3年)が3者凡退に抑えて、その裏にサヨナラ勝ち。チームの勝利につながる投球にも、田中の自己評価は「75点」と辛口。ライバルの高橋については「レベルは僕とは全然違うピッチャーですし、まだまだ追いつけない存在」と尊敬の念を示した。
仙台育英高では、2023年夏の甲子園では背番号1をつけた高橋とともに準優勝に貢献した。大学では別々のチームに進み、この日は相手より先にマウンドを降りたくないと意地をぶつけ合った。敗れた高橋は「しっかり勝ってもらって、月曜日にまたしっかり抑えられるように調整していきたい」と見据えた。同級生との勝負で残った悔しさを、次回登板につなげる。
(横井洸太 / Kota Yokoi)