「自分はうまい」大怪我で気づいた“傲慢” 上位候補も…5位の現実は「現段階の評価」

ソフトバンクから5位指名を受けた東北福祉大・猪俣駿太
「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が22日、都内で開催され、東北福祉大の猪俣駿太投手がソフトバンクから5位指名を受けた。猪俣は身長185センチ、体重92キロの恵まれた体格を生かしたパワフルな投球が光る最速155キロ右腕。昨年の櫻井頼之介(中日)、堀越啓太(西武)に続き、東北福祉大投手陣の大黒柱がプロの世界へ飛び込む。
前評判と比べると遅めの指名だった。指名後の記者会見では当初、笑顔が少なかったが、徐々に頬が緩み、「ホッとしました。(ソフトバンクは)強いチームで、勝てるチーム。うまい選手が多い分、収穫も多いと思う。教えてもらいながら成長して、いずれは勝利に貢献できるピッチャーになりたいです」と決意を口にした。
5位という順位については、「あまり意識していません。ここが現段階の評価だと受け止めています」ときっぱり。「プロに入ってからが勝負だと思っているので、まずはスタートラインに立てて安心しました」と率直な思いを明かした。
猪俣は福島県喜多方市出身。明秀日立高では2年秋からエースナンバーを背負い、3年時は春夏連続で甲子園に出場した。3年夏の甲子園では、今年7月にレッズと契約を結んだ石川ケニー(ジョージア大)との小刻みな継投が話題を集めた。
大学では2年春にリーグ戦デビュー。2年秋と3年春はいずれもリーグトップの防御率をマークして2季連続でベストナインと最優秀投手賞の2冠を獲得した。リーグ戦通算15勝、通算防御率1.52。強力投手陣の中心を担い続け、確かな実績を積み上げた。
1年時の怪我を経て、2年春のデビュー戦で150キロ台連発
大学4年間を追った筆者が最も強烈に記憶しているのが、2年春のデビュー戦だ。優勝のかかる仙台大との大一番で救援登板すると、高校時代の最速を8キロも上回る153キロを計測。その後も150キロ台を連発し、スタンドをどよめかせた。
後日、猪俣に話を聞くと、1年時の怪我について教えてくれた。入学後初の実戦となる紅白戦に登板した際、右肘の靭帯を損傷。1年目は棒に振り、2年春リーグ戦の開幕約2週間前にようやく違和感なく投げられるようになった。当初は秋に照準を合わせていたが、シート打撃で150キロを計測したのを機にAチームに合流し、仙台大戦で鮮烈デビューを果たしたという。
猪俣は当時、「最初は『ある程度実績があるから』というおごりがあって、『自分はうまいんだ』と勘違いしていた。怪我のおかげで早いうちにおごりに気づくことができました」と話していた。周囲のレベルの高さを目の当たりにした上、怪我で出遅れたことから、下級生の段階で尻に火が付いた。そこからは一度たりとも努力を怠ることをしなかった。
指名後の取材でも「1年生の時に怪我をしたからこそ、この結果がついてきた。あの怪我がなかったらここまで成長していないと思います」と口にした。怪我で離脱した期間に自身の体と向き合ったからこそ、マウンドに立ち続ける強靭な体が出来上がった。プロの世界でもスタンドのどよめきを誘うボールを投げてくれるに違いない。
(川浪康太郎 / Kotaro Kawanami)