田澤純一が気づいた「自分らしさ」 40歳でも現役…GM兼任になっても“変わらないコト”

埼玉武蔵ヒートベアーズの田澤純一投手兼GM【写真:黒澤崇】
埼玉武蔵ヒートベアーズの田澤純一投手兼GM【写真:黒澤崇】

今季は23試合で防御率1.96とチームに貢献

 NPBもメジャーも頂上決戦を終えた。様々な人の去就が耳に届くこの季節は、選手それぞれが持つ“美学”が見える時でもある。先日、ルートインBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズから「選手兼任GM」の就任が発表された田澤純一投手は、40歳を越えてもプレーを続ける理由について問われると「気づけばいなくなっていた、という方が、自分らしいかなと思うんですよね」と、胸の内を明かした。

 ENEOS所属を終え、2度目の埼玉武蔵入りとなった今季、田澤は23試合に投げ、1勝2敗13ホールド1セーブ、防御率1.96という安定したパフォーマンスで、チームのプレーオフ進出に貢献した。ここ数年は怪我が続き、試合で投げるよりもリハビリや調整に費やす時間が増えていた。だが、今季は井脇毅トレーナーとの二人三脚が実を結び、シーズンを通じてマウンドに上がり続けた。

「今年は自分の中で、思った以上に試合で投げているんですよね。なんだか野球が楽しかったなって。ヒートベアーズと契約する時、山崎(寿樹)オーナーから『投げられるのであれば、ずっと投げて下さい』と言っていただいているので、こういう環境を与えてくれるチームに感謝しながら、貢献できる間は投げ続けたい。だからと言って、来年再来年……とずっとやり続けるかは、まだ考えていません」

高校卒業から22年…「あまり変わった感がない」

 横浜商科大高から新日本石油(現ENEOS)に入社したのが2005年。野球が仕事となってから22年が経った。今でも、マウンドに上がるための準備に余念はない。誰よりも早くグラウンドに姿を現し、体を温める。投げ終えた後のケアも欠かさない。オフシーズンも含め、トレーニングとメンテナンスという地味だが重要な作業を繰り返してきた。

「もちろん、以前より動けなくなったことも多少はありますよ。でも、高校を卒業してから何が変わったかと言われると、あまり変わった感がないというか。選手として、投げる準備をしっかりしておこうというだけで。ただ、このオフからGMを兼任させていただくので、自分の成績はもちろん、独立リーグの選手がプロへ行くために、少しでも力になりたいという思いがあります」

 今季、埼玉武蔵では2人の選手が引退し、引退試合が行われた。ともに戦った仲間が見せた最後の勇姿に「お疲れ様」の思いが沸くと同時に、自分が華々しく送り出される光景は「イメージが湧かないな」と思ったという。

取材に応じた埼玉武蔵ヒートベアーズの田澤純一投手兼GM【写真:黒澤崇】
取材に応じた埼玉武蔵ヒートベアーズの田澤純一投手兼GM【写真:黒澤崇】

「気づけばいなくなっていた、という方が、自分らしい」

「引退と区切りをつけるより、選手とGMをやりながら、気づいたらGMに完全移行しているような、自分的にはそっちの方が合っているんじゃないかと思うんですよね。気づけばいなくなっていた、という方が、自分らしいというか、引退試合みたいなのは向いてないなと(笑)」

 キャリアにしっかり区切りをつけるのも、自然に任せてフェードアウトするのも、あるいは生涯現役を貫くのも、それは選手個人の美学によるところ。どんな形があってもいい。右腕が社会人、独立リーグ、メジャー、台湾、メキシコと多種多様な舞台で積んだ経験を、野球の未来のために次の世代へ伝えていくことは、投手であれGMであれ、その肩書きにかかわらず続いていく。

「GM業務をしながらも、また選手としてしっかり準備して試合に臨むことは続けていきたい。その中で、うまく移行できたらいいなと思います」

 そう言いながら、このオフも体のメンテナンスを終えた後は、例年通りのトレーニングに臨む予定だ。完全移行が何年先になるのかは分からないが、少なくとも来年はまだまだマウンド上での熱投を見ることができそうだ。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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