改めて評価したい2013年プレイバック 中日・谷繁元信が25年のプロ人生で積み上げてきたもの
打者が感じる谷繁元信捕手の存在感
来季から中日の選手兼任監督になる谷繁元信捕手(43)。1989年の高卒1年目から試合に出続けて、今年で2900試合に出場した。1959年から1980年までに2831試合に出場した王貞治氏の数字を超えて、歴代2位の数字になった。そして、上には1954年から1980年の間に3017試合に出場した野村克也氏だけになった。日本記録まであと117試合となり、2014年内にも達成できそうな数字だ。
また、谷繁は1年目の5月に尾花高夫投手からホームランを放って以降、25シーズン連続で本塁打を放っている。これは1956から1980年に25年連続本塁打を放った野村克也氏に並ぶプロ野球タイ記録となった。野村氏は通算657本、谷繁は227本と本数は大幅に違うが、25年もの間、継続してきたことには大きな価値がある。来季も本塁打を放てば、プロ野球記録となる26年連続本塁打になる。
谷繁はパワーではなく、怪我をしない体と捕手としての頭脳で本塁打を打ってきた。打席に入った時に投手が投げてくると予想した球種とコースにバットを合わせることができるため、ボールへ最短距離でスイングし、スタンドへ運ぶ技術がある。投手から見ても「失投ではなかったのに……」と思うボールが本塁打にされてしまうことも多かった。また、今年は42歳4か月で2000本安打にも到達。これはプロ野球最年長の記録だった。
セ・リーグの強打者たちが、中日と対戦するときは、「投手と対戦するよりも、後ろにいる捕手の谷繁さんと戦っている気がする」と言わしめるほどの存在感を見せる。今年、山井大介がノーヒットノーランを達成した際も打者の心理の裏をかいた配球でサポートした。
選手兼任監督は選手一人としての時間が少なくなる。調整や体のケアもこれまでと同じようにはできなくなるかもしれない。ただ、谷繁には監督としてだけでなく、選手としても大きな期待がかかる。ノムさんを超える3017試合を抜いてさらにその先へ。来季、谷繁が前人未到の領域に足を踏み入れる瞬間をファンは待ち望んでいる。
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フルカウント編集部●文 text by Full-Count