来季清宮もライバルに 剛柔併せ持つ北の19歳スラッガーが秘める可能性
今季プロ初打席初安打初打点を挙げた日ハムルーキー今井
今シーズンは負傷者が続出し、苦しい戦いが続いた北海道日本ハム。しかし数多くの若手が1軍の舞台を経験し、チームに新しい風を吹かせたシーズンでもあった。ドラフト9位の高卒ルーキー・今井順之助内野手も、今季得難い経験を積んだ若手の1人である。
父は元プロ野球選手、母は元プロゴルファーというスポーツ一家で生まれ育った19歳。中京高校で通算68本塁打を誇り、昨夏の甲子園にも出場した。その年のドラフトで北海道日本ハムに9位指名を受け、プロ入りを果たす。
ルーキーイヤーの今季はファーム開幕戦から「7番・一塁」でスタメン入り。初打席でいきなり安打を放ち、すぐにファーム初本塁打も記録。幸先の良いスタートを切ると、その後も高卒ルーキーらしからぬ安定した打撃で3割近い打率を残し、首脳陣にアピールを続けた。しかし、夏場以降に打率を2割台前半まで落としてしまう。最終的なファーム成績は110試合75安打5本塁打30打点、打率.222というものだった。
ただチーム最多の110試合に出場したことや将来性が評価され、10月5日に1軍初昇格。同日の埼玉西武戦に「7番・一塁」でプロ初出場を果たす。そして初回に1死満塁の場面で打席が回ってくると、「ファーストストライクを打ちにいくのがスタイルなので」との言葉通り、ウルフ投手の投じた初球、148キロのツーシームを捉え、バットを折りながら中前にはじき返す。プロ初打席で初安打・初打点を記録し、塁上で初々しい笑顔を見せた。
高校通算68発という数字や、豪快なスイングからホームランバッターに見られがちだが、ウルフから放った一打からも見て取れるように、柔らかい打撃も今井の持ち味だ。お手本にしている選手としては、広島で活躍した前田智徳氏の名前を挙げ、軸足の使い方や打撃フォームなどを参考にしていると言う。
今オフ、チームには同じ一塁手の清宮幸太郎が、ドラフト1位で入団してきた。左打ちの大砲候補という共通点もあり、このゴールデンルーキーは今井にとってライバルとなるに違いないが、プロでの経験は1年先を行っている。今季、ファームで1年間試合に出場し続けたこと、貴重な1軍経験を生かして、チーム内競争を勝ち抜いていってほしい。1試合でも多く、1軍で今井の姿が見られることを楽しみにしている。