出てこい“中日の周東” 盗塁増へ「徹底的に」、3人の候補生に荒木コーチが極意伝授
ドラ6三好&岡林&高松に通算378盗塁の荒木コーチが手取り足取り指導
中日の与田剛監督は、春季キャンプのテーマのひとつに「機動力」を掲げる。昨季のチーム盗塁数33個は、12球団中11位。リーグ上位の巨人、阪神とは47個も差をつけられた。レギュラー陣の底上げもさることながら、“一芸”に秀でた俊足の若手たちの強化にも着手。候補に入った3選手の台頭を望んでいる。
DeNAとの練習試合が雨天中止となった14日。屋内練習場の一角で“走塁講座”が開かれた。プロ野球歴代11位の378盗塁を記録した荒木雅博内野守備走塁コーチが、手取り足取りスタートを切るタイミングや体の使い方を細かく伝える。時に映像も撮りながら、無駄なく加速できる形を模索していった。
受講生は、ドラフト6位ルーキーの三好大倫外野手(JFE西日本)と高卒2年目の岡林勇希外野手、そして高卒4年目の高松渡内野手の3人。中でも高松について与田監督は「うちで1番、盗塁が期待できる選手」と期待。今キャンプは2軍だが、1軍での試合で場数を踏ませたいと特別に招集されていた。
昨季は8年ぶりにAクラスに入ったとはいえ、盗塁数は12球団最少のDeNAの31個を少し上回る33個。50盗塁をマークしたソフトバンクの周東佑京内野手ひとりにも全然及ばない惨状だ。その鷹の韋駄天は、代走をきっかけに1軍で頭角を現し、昨季は打撃も向上してレギュラーとして躍動。走塁の起爆剤となる存在が、中日にも欠かせない。
“周東候補生”たちは、今季初の対外試合となった12日のDeNA戦(北谷)でも積極果敢にスタート。その姿勢を指揮官も評価し、「どんどんアピールしてほしい。できたかできないかじゃなくて、やるかやらないか。やれない人間は、1軍に残れないという意識でやっていかないと」と発破をかける。
この日は、中止によってできた時間を使い、ここぞとばかりに荒木コーチが熱血指導。英智外野守備走塁コーチも加わり、講座は熱を帯びた。三好は「スタートを切ったときの頭の位置だったり、爪先の出し方だったりを修正しました。それを知ることによって、スピードに一気に乗れるようになりました。今までは反応だけでやった部分がありましたが、それではプロのレベルでは走れない」と自らに落とし込む。
ベンチに足という武器があれば、戦い方に幅も出てくる。与田監督は「荒木コーチも『企画数を絶対に増やします』と言ってくれています。我々も選手ができるようになって、初めて成果が出たと思いますから。動くことを徹底的に沖縄でやっていきたい」と力を込める。候補生たちは“快速枠”を巡り、南国でしのぎを削っていく。
(小西亮 / Ryo Konishi)